2020 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌由来の代謝分子を起点とした抗腫瘍免疫増強の解析
Project/Area Number |
19K07607
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
梅本 英司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90452440)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | GPCR / 免疫 / 生理活性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、これまで腸内細菌が産生するピルビン酸および乳酸が、小腸粘膜固有層に存在するCX3CR1+貪食細胞上のGタンパク質共役型受容体GPR31に結合することで、貪食細胞における樹状突起伸長を促進することを見出した。近年、腸内細菌が免疫チェックポイント阻害剤を用いた抗腫瘍療法の効果に影響を与える因子として報告されたが、腸内細菌が抗腫瘍療法の奏効に影響を与えるメカニズムには不明な点が多い。 申請者は、ピルビン酸・乳酸およびGPR31を介したシグナルが抗腫瘍免疫に与える影響を明らかにするため、野生型マウスおよびGPR31欠損マウスの皮下に大腸癌細胞株MC38を接種したところ、腫瘍形成に差が認められた。GPR31欠損マウスの小腸では、制御性T細胞の表現型に違いがあったことから、腸管由来の制御性T細胞が腫瘍局所に移動して、抗腫瘍効果に影響を与えた可能性を考えたが、野生型マウスとGPR31欠損マウス間で腫瘍における制御性T細胞の数および表現型に大きな違いは認められなかった。一方、小腸においてGPR31はCX3CR1陽性貪食細胞に発現することから、CX3CR1-gfp/+マウスにMC38細胞を接種して形成された腫瘍における細胞集団を解析したところ、一部のCX3CR1陽性細胞にGPR31の発現が一定程度、認められた。したがって腫瘍局所におけるCX3CR1陽性ミエロイド細胞が抗腫瘍免疫応答を調節する可能性も考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は該当年度、静岡県立大学に着任して新しく研究室の立ち上げを進めている。本学において、本研究の遂行に必要なGPR31欠損マウスおよびCX3CR1欠損マウスの繁殖を進めているが、解析に必要なマウス数を十分に確保できなかったため、当初の予定より、若干遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
腫瘍組織におけるGPR31発現細胞集団をさらに詳細に解析する。また、現時点ではGPR31シグナルが抗腫瘍免疫に果たす分子機構は不明であるため、腫瘍組織におけるCX3CR1陽性細胞の細胞形態などを解析する。腸内細菌がGPR31シグナルを介した抗腫瘍免疫に関与する可能性を検討するため、抗生剤を投与したGPP31欠損マウスにおける腫瘍形成についても解析する。
|
Research Products
(1 results)