2021 Fiscal Year Annual Research Report
Long-chain fatty acids are associated with the pathogenesis of atopic dermatitis via induction of inflammatory ILC3s
Project/Area Number |
19K07609
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菅野 雅元 広島大学, 医系科学研究科(医), 名誉教授 (40161393)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 自然リンパ球 / DAMPs / 長鎖脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎(AD)は、臨床的にも、免疫学的にも複雑な疾患である。また、母乳栄養とアトピー性皮膚炎発症に関しては、賛成(AD発症予防)、反対(AD発症誘導・促進)の両方の論文が報告されている。今まで、免疫学的には、ADは2型免疫反応が重要であり、その結果としてIgE抗体産生、皮膚の湿疹病変などのAD特有の症状を呈するようになると考えられてきた。
我々の研究で、AD発症例の母乳中に「自然免疫系を活性化するDAMPs活性」を検出した。そこで検出したDAMPs活性の本体を突き止めるために、メタボローム解析を用いてその原因物質探索を行ったところ、長鎖飽和脂肪酸(C12-C20:LCSFA)であった。またLCSFAがどの様な免疫担当細胞(特に自然免疫系細胞)に関係しているのかを探索・同定し、AD発症機序の解明につなげることを目的とした。LCSFA(パルミチン酸など)を含む餌を母親に摂取させ、その母乳で育った子供マウスは、皮膚の湿疹病変を含む典型的なAD症状を呈した。この事より、いかに乳幼児期の摂取栄養が、その後の子供のAD発症に多大な影響がある事がわかる。主要なターゲットは消化管粘膜の自然免疫系細胞(自然リンパ球:ILCs)であり、その中でも特にILC3がAD発症のトリガーであることが判明した。このILC3活性化および、消化管から皮膚への移動が、2型免疫反応を起こす細胞群ILC2の活性化を引き起こしていると考えられる。
母乳中の栄養・LCSFAの摂取による、消化管のILC3細胞の活性化・変化には、遺伝子レベルで、幹細胞・前駆細胞からILC3への分化・増殖を促進するような変化が起きている事が明らかとなった。さらに、腸内細菌叢も変化しており、摂取した母乳中のLCSFAと特徴的な腸内細菌叢(および、その代謝産物)の関係を同定した。
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[Journal Article] Long-chain saturated fatty acids in breast milk are associated with the pathogenesis of atopic dermatitis via induction of inflammatory ILC3s.2021
Author(s)
Kong WS, Tsuyama N, Inoue H, Guo Y, Mokuda S, Nobukiyo A, Nakatani N, Yamaide F, Nakano T, Kohno Y, Ikeda K, Nakanishi Y, Ohno H, Arita M, Shimojo N, Kanno M.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 11
Pages: 13109
DOI
Peer Reviewed / Open Access