2022 Fiscal Year Annual Research Report
"Allergy via Intestine" and "Allergy via Skin"
Project/Area Number |
19K07611
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山下 弘高 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40453055)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食物アレルギー / 経口免疫寛容 / 皮膚感作 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康な人では、食べ物に対して、経口免疫寛容と呼ばれる免疫制御システムが働きアレルギーは誘導されない。経口免疫寛容は堅牢な免疫システムであり、以前に私たちが作製した食物アレルギーに対する経口免疫寛容モデルでは、卵のアレルゲンの ovalbumin (OVA) に対して経口免疫寛容を獲得させたマウスに、OVAを腹腔内注射して感作を試みても、感作は成立しなかった。 近年、加水分解小麦末を含有する洗顔石鹸を使用することで、小麦アレルギーを発症した事例が報告された。この事例では、小麦タンパク質を皮膚に暴露したことで、アレルギーを起こすことなく食べれた小麦製品に対して食物アレルギーが惹起された。 前述のように、マウスモデルの経口免疫寛容は堅牢であり、獲得した免疫寛容を破たんさせる例は報告されていなかった。そこで、OVAに対して経口免疫寛容を獲得させたマウスの後背部を剃毛しダメージを与え、OVAをしみこませたろ紙を貼付し免疫寛容の無効化を試みた。その結果、OVA貼付モデルでは、獲得していた経口免疫寛容を軽微に無効化し、抗原特異的IgE産生を誘導したが、体温低下や下痢などの明確なアレルギー症状は誘導できなかった。この原因は、貼付操作の煩雑さに由来すると考えたため、よりシンプルな方法として、OVAを直接皮内に注射するモデルの作製した。その結果、経口免疫寛容誘導したマウスにOVAを皮内注射すると、免疫寛容を強力に破たんし、IgE値の上昇だけでなく、明確なアナフィラキシーショックを惹起した。これらの結果から、OVA皮内注射モデルは、小麦末含有石鹸の事例と同様に、皮膚を介する抗原暴露によって、獲得していた経口免疫寛容が破たんし食物アレルギーを発症した。このメカニズムを解析したところ、皮内注射によって、免疫寛容性CD103+樹状細胞の遊走や制御性T細胞の誘導が阻害されることが明らかとなった。
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