2019 Fiscal Year Research-status Report
CAPS患者単球におけるIL-1β異常産生制御の1細胞分泌計測からのアプローチ
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19K07619
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 舞 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (90332501)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一細胞機能解析 / 臨床検体 / 体細胞モザイク / 一細胞遺伝子アレル配列解析 / 自己炎症疾患 / IL-1β / 薬効経過観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、NLRP3遺伝子のgain-of-function変異を原因とする自己炎症性疾患、Cryopyrin-Associated Periodic Syndrome(CAPS)の迅速確定診断法の確立、ならびにIL-1β異常産生単球特異的な遺伝子発現を同定して次世代治療法開発の分子基盤を明らかにすることを目的としている。この目的のために研究代表者は自身らが開発した1細胞分泌実時間イメージング法(Sci. Rep., 22、4736 (2014))に基づく選択的実時間回収法(特願2016-007715)をCAPS患者単球からの炎症性細胞死に伴うIL-1β産生に適用しようとしている。本年度は、半手動である一細胞回収システムの自動化に向けての設計を行いつつ、モザイク率が数%以下と考えられる抗体製剤適用前のCAPS患者(疑いを含む、計3名)の協力を得て、抗体製剤投与前、投与後1か月、投与後3か月における末梢血単球の異常IL-1β産生動態を1細胞分泌実時間イメージング法を用いて観察した。また、投与前の計測においては12時間の分泌計測中、異常IL-1β産生を呈した細胞を産生後1時間以内に回収し、その後の解析に供するため直ちに凍結して保存した。1件目、2件目の症例では、抗体製剤投与によって一定の症状の緩和が見られ、一細胞レベルのIL-1β異常産生においてもこれまでと同様に沈静化する傾向が見られた。3件目は期間終了間際の診断であったため、経過は観察できていない。さらに、回収した細胞からNLRP3遺伝子変異の有無を検出するため、一部を代表者が開発したデジタルPCR法によるNLRP3遺伝子アレル配列解析に供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CAPSが疑われる新規モザイク症例の患者様3名にご協力いただけたおかげで、研究代表者らが目指している研究の方向性の検証を行うことができたのは大きな成果であった。しかしながら、遺伝子アレル配列解析のサンプル調製を行ったものの、最後にキャピラリーシーケンサーに供する手前で新型肺炎のための活動自粛期間に入ってしまったため、未だ結果を得ることができていない。この結果は本研究の今後を左右する重要な結果であるため、この点のみ惜しまれる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは中断している遺伝子アレル配列解析を進めて、異常分泌と遺伝子変異の関連性について検証する。抗体製剤投与後の末梢血単球の沈静化については、統計的解析を行うために、ご協力いただける患者数を増やして実験を行うとともに、投薬前後の一細胞からRNA-Seqを行い、どのような経路が沈静化をもたらすのかを探索する。
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