2020 Fiscal Year Research-status Report
コホート検体を用いたHPV E7遺伝子変異とCIN3進展における機能解析
Project/Area Number |
19K07636
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内野 繭代 (森繭代) 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30570452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 歩 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60756782)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | HPV / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に、HPVタイプ毎に子宮頸部異形成の進展パターンが異なることや、HPV由来遺伝子発現パターンが異なることを見出した。 2020年度には、異なるHPVタイプによる子宮頸癌検体を用いて、RNA seq解析とcap-analysis gene expression (CAGE)解析を行った。これにより、HPVのタイプによって、ウイルス遺伝子発現パターンや転写開始点の活性化パターンが異なることを見出した。 また、HPVタイプ毎にウイルスキャプシド蛋白であるL1発現が異なることから、子宮頸部前がん病変を用いて、laser microdissectionにより、部位毎の遺伝子網羅的発現解析を試みたが、生検検体では、質の高いRNAが確保できない結果であった。このため、次に手術により採取した子宮頸癌検体を用いて、laser microdissectionを行い、分化の異なる組織ごとの遺伝子発現を検討した。その結果、手術検体では、laser microdissectionに基づくRNA seq解析は実施可能であり、ウイルス遺伝子発現、ヒト遺伝子発現の双方向から解析可能であることがわかった。また組織型毎にウイルス遺伝子の発現パターンが異なる(ウイルス遺伝子バリアントが異なる)ことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮頸部組織を用いたlaser microdissectionに基づくRNA seq解析を本年度において確立することができた。来年度以降は本結果を元に研究を推進することが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度に確立した、子宮頸部組織を用いたlaser microdissectionに基づくRNA seq解析を前がん病変でも応用する。具体的には、円錐切除検体を用いて、laser microdissectionを行い、RNA seq解析をし、ウイルス遺伝子発現とヒト遺伝子発現を解析する。これにより、HPVタイプ毎の前がん病変での網羅的発現解析が可能になるとともに、分化度によるウイルスヒト遺伝子発現パターンを解明することが可能になり、HPVタイプ毎の発癌形式の解明とともに、組織ごとの子宮頸癌への進展形式を解明することが期待できる。 さらに、子宮頸部異形成における基底層組織と表層組織のウイルスホスト相互作用の解析も行う。具体的には、HPV16,18, 52, 58型のCIN検体の基底層細胞と表層細胞に分けた解析とともに、AIS検体をlaser microdissectionによって組織ゲノムを抽出し、網羅的発現プロファイル解析を行う。さらに、2019年度に報告した、HPVタイプ毎のウイルスゲノム発現評価方法(特異的PCR法)を用いてそれぞれの検体における各種HPV由来遺伝子発現を解析する。これにより、子宮頸部異形成の不均一性を明らかにし、HPVタイプ毎の進展形式の違いを明らかにするとともに、子宮頸部異形成の進展・退縮バイオマーカーとなり得るかを検討する。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗が順調であったため、次年度に予定していた実験を前倒しで行うことが可能となったため。
|