2021 Fiscal Year Annual Research Report
コホート検体を用いたHPV E7遺伝子変異とCIN3進展における機能解析
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19K07636
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内野 繭代 (森繭代) 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30570452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 歩 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60756782)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Human papillomavirus / 子宮頸がん / 子宮頸部異形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、HPVタイプ毎の持続感染や発癌形式の特徴を解明するために、統計手法であるMarkov法を適用して双方向性HPVタイプ毎進展パターンを解明した。それにより、HPV16型は段階的に急速に子宮頸部異形成の進展を認めることを見出した。一方で、日本人に多いHPVタイプであるHPV52型、58型は、持続感染が多く軽度から中等度異形成で維持される特徴を見出した。 また、HPVゲノム発現パターンを検討した結果、HPV52/58型ではHPVキャプシド形成に関わる遺伝子であるL1産生が多いことを見出した。L1産生が子宮頸部異形成のすべての期間を通して活性化していることから、HPV52型、58型は高度病変においてもウイルス生活環を維持し、持続感染形式をとり、長期にわたる持続感染の結果発癌に至る可能性が推測された。一方、HPV18型では、L1発現やウイルス複製に関わるE1^E4発現が欠落していることを見出した。HPV18型では感染早期よりヒトゲノムへの組み込みが生じている可能性が考えられた。 次に、HPV由来遺伝子を網羅的に解析するため、異なるHPVタイプによる子宮頸癌検体を用いて、RNA seq解析とCAGE解析を行った。これにより、HPVのタイプによって、ウイルス遺伝子発現パターンや転写開始点の活性化パターンが異なることを見出した。また、HPV18型由来の子宮頸がんでは全例においてHPVゲノムのインテグレーションに由来するウイルス・ヒトキメラRNAが検出された。 以上の結果より、HPV18型は早期にHPVゲノムのインテグレーションを生じ、productive viral infectionを伴わない持続感染と急速な発癌が特徴的であり、HPV16型は段階的な発現形式が特徴的であり、HPV52, 58型は長期にわたるウイルス産生を伴う持続感染が特徴であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)