2021 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質恒常性の破綻による大腸がん増悪メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K07650
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
和久 剛 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (40613584)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 聡 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (50292214)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 遺伝子発現 / 腫瘍 / タンパク質分解 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的であったNRF3-CPEB3-26S抑制経路の分子機構は前年度までに論文報告できたことから、新たに見出したNRF3と脂質代謝との関連について解析を進めた。 まず網羅的な遺伝子発現解析とリアルタイムPCRによるNRF3下流経路の探索から、NRF3がコレステロール生合成経路を制御する可能性を見出した。さらにコレステロール代謝の主要転写因子SREBP2に着目した生化学的な解析から、NRF3はSREBP2を活性化することに加え、SREBP2と転写複合体を形成することで、コレステロール生合成の律速酵素であるHMGCRを含む一部の合成酵素を選択的に転写していることを明らかにした。そこで、NRF3がコレステロール生合成経路をリプログラムしているかガスクロマトグラフィー質量分析を行った。その結果、NRF3過剰発現によってコレステロール量は変化しなかった一方で、コレステロール前駆体であるラノステロール量が有意に減少していた(図1)。そこで次に細胞内コレステロール量が変化しない点に着目し、そのメカニズムの解明を行った。その結果、NRF3はマクロピノサイトーシスと呼ばれる基質非特異的なエンドサイトーシスを誘導することで細胞外からコレステロールを取り込むことで、細胞内のコレステロール量を一定に保っていることを明らかにした。また、NileRed染色によって、NRF3は細胞内の中性脂肪量を減少させることを見出した。中性脂肪は肥満の原因であることから、NRF3を介した脂質代謝リプログラム機構は抗肥満作用を有している可能性が示された。 本研究結果は査読付き国際科学雑誌に掲載済みである。
|
Research Products
(4 results)