2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K07653
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
藤井 眞一郎 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (10392094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 佳奈子 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 上級研究員 (20391980)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 自然免疫 / 獲得免疫 / 免疫ランドスケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
がんに対する免疫療法薬として抗PD-1抗体を始めとした免疫チェックポイント阻害薬の有効性が実証されているが、その効果は20-30%程度で全ての症例に効果がある訳ではない。現在、新規免疫療法開発に向けて、腫瘍微小環境(TME)における免疫細胞の特性と病態の進行や免疫チェックポイント阻害薬の効果の相関に注目が集まっている。多発性骨髄腫は、造血幹細胞より分化した形質細胞の腫瘍であり、免疫系細胞の腫瘍化である。また骨髄腫はゲノム不安定性を有し、細胞遺伝学的に不均一で、初発時より複数のクローンが競合的あるいは協調的に存在するといわれている。病態進行には、TMEにおけるストローマ細胞や破骨細胞など骨髄ニッチの関与が明らかになりつつあるが、免疫細胞の役割は散発的な報告はあるものの不明な点が多い。我々はこれまで、免疫系の初期防御として機能する自然リンパ球(NKT細胞、及びNK細胞)に着目して、骨髄種におけるこれらの細胞群の数的、機能的解析を行い、保存されている症例と低下している症例があることを報告してきた。本研究は、より網羅的に免疫細胞を解析することにより、骨髄種における免疫と病態進行の相関を検証する。その為に骨髄腫症例でマスサイトメーターを利用して多スケールの免疫プロファイリングを網羅的に行い、免疫ランドスケープを確立する。その結果を(i)自然リンパ球の機能、(ii)進行ステージと照合することで、相関を検証することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、多発性骨髄腫に対する新たな免疫ランドスケープを樹立する上で、腫瘍微小環境の複雑な免疫システムの包括的な解析に必要な多種のマーカを同時検出できるCyTOF解析のシステムの確立であった。そこで、多発性骨髄腫症例用の抗体パネルの作成を行った。CyTOF解析のためには、抗体のクローンの選択、金属標識のパターン、および染色方法など種々の条件検討が必要であり、その最適化のために時間を要したが、最終的に、NK/T 細胞解析用のパネルおよび、骨髄腫およびミエロイド系免疫細胞用の2種のパネルを完成させた。また、マルチカラーのフローサイトメトリーの解析系も同時に確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は確立したCyTOFおよびフローサイトメトリーのシステムで患者検体解析を進めていく。
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