2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of novel post-translational modifications in colorectal cancer
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19K07656
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
三城 恵美 (佐藤恵美) 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任講師 (00455544)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 翻訳後修飾 / 大腸がん / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、大腸がんの新たな治療標的となりうる分子やシグナル伝達経路を探索するため、大腸がんマウスモデルを用いたプロテオーム解析や翻訳後修飾(Post-translational modification: PTM)解析を行ってきた。その中で、タンパク質発現だけでなく、アシル化修飾が、大腸がんの初期病変である良性腺腫の段階で大きく変動していることを見出した。新規大腸がん治療法の開発を指向して、大腸がん腫瘍組織におけるアシル化修飾の変動の生物学的意義を解明することを目的とした。 マウスモデルで見つかったタンパク質およびそのPTM変化の臨床的重要性を検証し治療標的を探索するため、家族性大腸腺腫症familial adenomatous polyposis (FAP)患者の大腸腫瘍組織を用いてプロテオーム解析およびアシル化関連のPTM網羅解析を行って比較した。プロテオーム解析によって、ヒト・マウスのいずれにおいても、大腸腫瘍組織では大腸正常組織と比較して核やリボゾーム関連タンパク質群の増加、ミトコンドリア関連タンパク質の減少が認められ、アシル化PTM網羅解析では、アセチル化タンパク質について、ヒト・マウスに共通した変化を腫瘍組織に認めた。 大腸腫瘍形成に伴うタンパク質アセチル化の変動を制御する分子を同定するため、候補分子の絞り込みを行なった。現在までに候補分子の組織局在がアセチル化修飾変化と一致すること、阻害薬によりFAP患者腫瘍由来オルガノイドや大腸がん細胞株の増殖を抑制すること、さらに候補分子のノックダウンにより大腸がん細胞株の増殖を抑制することを確認した。以上の結果から、大腸がんの多段階発がんの初期過程から変動するタンパク翻訳後修飾の解析から大腸がん治療の新規治療標的候補を同定し、検証作業を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトとマウスの検体におけるプロテオミクスとアシル化修飾について、腫瘍部と正常部について変動を解析した。特にアセチル化修飾の変動がヒトとマウスで共通した変化を認めた。家族性大腸腺腫症モデルマウス(Apc変異マウス)、大腸病変の発生はWntシグナル経路の活性化により生じるため過形成モデルマウス(βカテニン変異マウス)、さらに進行した浸潤性大腸がんモデルマウス(cis-Apc/Smad4マウス)について解析したところ、ごく初期の病変から悪性化進展した大腸がんにおいてもアセチル化の変化は共通していて腫瘍形成に重要であることを見出した。 アセチル化を制御する可能性がある候補分子を絞り込み、阻害剤を用いてFAP患者腫瘍由来オルガノイドや大腸がん細胞株の増殖を抑制することができたため、更なるメカニズム解明を進めていた。 ほぼ順調に進んでいたものの、2022年1月末に愛知県がんセンターを退職し、2月から名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所へ異動したため、進捗に影響が出てしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
候補分子について阻害剤やsiRNAを用いた機能解析により有効な結果を得られ、メカニズム解明として、標的分子として見つかったRNA修飾酵素に着目している。 異動と抗体作製の失敗により進捗に影響が出てしまったが、めどは立っているためメカニズム解明に向けて詰めの解析を進める。
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Causes of Carryover |
アセチル化認識抗体作製を予定していたが、作製に失敗したためその費用が残ったが、再度挑戦するための費用とする。
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Research Products
(1 results)