2019 Fiscal Year Research-status Report
TGF-β関連分子によるがん幹細胞様特性獲得を介した腫瘍形成機構の解明
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19K07658
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
沖田 結花里 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30743710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | TGF-β / MafK / GPNMB / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにトランスフォーミング増殖因子(TGF)-β関連分子として独自に見出してきた転写因子MafKおよび、MafKによって誘導される遺伝子として発表した膜糖タンパク質Glycoprotein nmb (GPNMB)が、上皮間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition; EMT)、細胞運動能、腫瘍形成、さらには幹細胞様特性の獲得に関与していることを報告してきた(Okita et al, Sci Signal, 2017, Chen et al, Cancer Res, 2018)。がん幹細胞は治療抵抗性を示し、転移や再発の原因となっていると考えられており、がん幹細胞を標的とした治療法の確立が切望されている。 そこで本研究は、TGF-β関連分子(MafK、GPNMB)による幹細胞性誘導を介した腫瘍形成機構の解明することを主な目的とした。これまでにMafKまたはGPNMBの腫瘍形成能を欠失する変異体を複数作製済みであり、2019年度はそれらを用いてMafKまたはGPNMBの機能解析を行った(Xie et al, Cancer Sci, 2019)。またMafKやGPNMB過剰発現またはノックダウンが、細胞内シグナル伝達経路に変化を与える可能性を示唆する結果を得ることができた。さらにこれらシグナル伝達経路に協調的に影響を与える因子となり得る分子の候補を複数挙げることができた。今後、それらシグナル伝達経路とがん幹細胞性誘導やがん細胞特性との関連について解析を進める。加えて、GPNMBの機能に影響を与え得る新たな変異体の作製を行ったので、その変異体の機能解析を引き続き行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MafKまたはGPNMBの腫瘍形成能を欠失する変異体を複数作製済みであり、2019年度はそれらを用いてMafKおよびGPNMBの機能解析を行った。実際に腫瘍形成への影響についてマウスを用いて調べることができた。さらにその領域を認識する抗体を得ることができ、今後さらに詳細な検討を行う予定である。 また、MafKやGPNMB過剰発現またはノックダウンが、細胞内シグナル伝達経路に変化を与える可能性を示唆する結果を得ることができた。これらシグナル伝達経路に協調的に影響を与える因子の候補を複数得ており、詳細な検討を行う準備ができた。 加えて、GPNMBの機能に影響を与え得る新たな変異体の作製を行ったので、その変異体の機能解析を引き続き行う。 これまで、MafKおよびGPNMBの腫瘍形成などへの影響は、主に乳がん細胞を用いて調べてきた。2019年度は、他のがん種のおける機能解析も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
MafKやGPNMB過剰発現またはノックダウンが、細胞内シグナル伝達経路に変化を与える可能性を示唆する結果を得ることができた。これらシグナル伝達経路に協調的に影響を与える因子の候補を複数得ており、2020年度は、これらの影響について、ノックダウン法やルシフェラーゼアッセイ、阻害剤を用いた検討を行うことで調べる予定である。加えて、野生型GPNMBおよび腫瘍形成能を欠失する変異型GPNMBを発現させた細胞を用いて、RNAシークエンス法によるパスウェイ解析などを行い、両群で大きく変化する遺伝子やシグナル伝達経路を網羅的な解析も実施する。 これまで主に用いてきた乳がん細胞を用いた研究を行ってきたが、他種のがん細胞を用いた研究でも成果が見えてきており、他のがん種でのMafKおよびGPNMBの作用を引き続き調べる。 また並行して、すでに樹立されたがん細胞株を用いるだけではなく、患者から採取したがん組織の培養を試みており、より生体に近い状態でのMafKおよびGPNMBの機能解析が可能になるように準備を進める。
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Research Products
(2 results)