2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07669
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
大野 真治 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50419529)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / 古典型カポジ肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はヒトヘルペスウイルス8の標的遺伝子(ORF24、ORF26、ORF30、ORF42、ORF70、ORF72、vIRF1、vIRF2、K1)を発現プラスミドにサブクローニングし、C末端領域にFLAGタグエピトープ配列を付加した。HEK293T細胞にプラスミドを導入し、ウエスタンブロット法で発現を確認した。タンパク質の発現が確認できたORF26、ORF42、ORF70、ORF72のうち、ORF42を除く3つの遺伝子について宮古島のウイルスでみられる遺伝子変異を導入し、上記と同様の発現プラスミドを作成した。HEK293T細胞にプラスミドを導入し、ウエスタンブロット法で宮古島型と野生型のタンパク質の発現に差がないこと、宮古島型のアミノ酸変異の有無にかかわらず細胞内局在に違いがないことを確認した。 本年度は、NIH3T3細胞やVero細胞などを用いて、ORF72、ORF70、ORF26の3種類の遺伝子について安定発現細胞株クローンの作出を試みた。ORF26遺伝子の安定発現細胞は得られたものの、ORF70とORF72遺伝子の安定発現細胞を得ることができなかった。ORF26はウイルス粒子を構成するタンパク質であるため、腫瘍化に関わる可能性はあまり高くないと判断し、解析は後回しとした。 安定発現細胞の樹立と並行して、ORF72を一過性に発現する細胞を用いて、腫瘍化の一つの指標である細胞の重層化が起こるかを検討した。しかし、重層化はいずれの細胞でも見られなかった。ある遺伝子を導入した細胞では、細胞の増殖が抑制される傾向にあったものの、タンパク質発現の確認ができていない、統計学的な解析が未完了であるなどの点から引き続き検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に3種類の遺伝子(ORF26、ORF70、ORF72)の発現プラスミドと、変異を導入したプラスミドの作出を行い発現確認と細胞内局在を行うことができた。 2020年度は、安定発現細胞の樹立及び動物への接種実験をおこなう予定としていたが、安定発現細胞の樹立には至っていない。一過性発現細胞を用いての動物接種実験も考慮したが、蛍光免疫染色で導入遺伝子陽性細胞数が少なかったため、差異を判別が困難と判断し実施していない。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に作成した野生型3遺伝子と宮古島型3遺伝子の発現プラスミドを用いて、タンパク質の発現と局在確認はできているので機能的には問題がないと思われる。 今後は、①引き続き安定発現細胞の作成を試みる、②腫瘍形成に関わるNF-kBやp53のシグナル伝達系についてレポーターアッセイで評価する、③ヒトヘルペスウイルス8に人為的に宮古島型の変異を導入して感染細胞の表現型について検討する予定である。
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Research Products
(1 results)