2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K07670
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
遠藤 格 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60211091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 隆生 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30464548)
本間 祐樹 横浜市立大学, 医学部, 助教 (60567618)
廣島 幸彦 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), 臨床研究所, 医長 (60718021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / NACRT / TAM / 性差 / IRF-5 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌に対する術前化学放射線療法(NACRT)がもたらす癌免疫応答について検討した。対象者はNACRTを施行せずUpfrontに手術を施行した患者群(Upfront群)31例と、NACRT施行後に手術を行った患者群(NACRT群)58例とした。免疫染色を用いて、癌局所に浸潤する免疫細胞の浸潤量をまず評価した。結果、①CD204+TAMの癌局所への浸潤量がUpfront群と比較しNACRT群で有意に減少すること、②CD204+TAMの浸潤量が減少した症例では有意に予後(OS,DFS)が改善すること、③NACRTによるCD204+TAMの浸潤量減少は、女性でのみ見られ男性では見られなかった、ことが分かった。これらの結果から、NACRTの感受性は男性と比較し女性で良好であり、それはCD204+TAMの浸潤もしくは分化に起因している可能性が示唆された。 次に、TAMの分化に深く関与していると最近報告されている、転写因子のInterleukin Regulatory Factor(IRF)に注目した。IRF familyには1-9までのsubtypeが存在するが、IRF-5は発現量に性差があることが報告されている。抗IRF-5抗体で免疫染色を行うと、CD204+TAMの浸潤量との間に負の相関があることが分かった。NACRT後の癌局所でのIRF-5発現は女性でのみ高く維持されており、男性では発現が低下してしまうことが分かった。NARCTに対する癌免疫応答は、IRF-5発現に起因したCD204+TAMの分化・浸潤と深く関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫染色での検討は概ね順調であり、論文投稿中である。膵癌の切除検体を用いた前向き検討については、現在症例集積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌に対するNACRTの感受性に性差があることは新知見であり、現在論文投稿中である。並行して、膵癌患者の摘出標本から単一の免疫細胞群を分取し(FACS)、ataq-seqやRNA-seqを用いて遺伝子解析を施行中である(免疫学教室との合同研究)。免疫染色で得られた結果について、前向き検討でも同様の結果が得られるか検討中である。 さらに、マウス膵癌同所移植モデルに対して、IRF-5 knockdownモデルでの化学療法感受性の変化等を検討予定である。
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Causes of Carryover |
免疫染色での結果が予想と異なり、その解釈に時間を要した。当初は化学療法に対する癌免疫応答は性差関係なく起こると考えていたが、今回の検討で女性でのみに癌局所での反応に変化が見られた。そのメカニズムの一つとして、IRF-5の発現に着目したが、それまでに時間を有した。今回の検討をもとに、マウス同所移植モデルでの検討に移る予定であり、そのためのマウス購入・管理費用、癌細胞培養・維持費等が次年度移行にかかると思われる。また、コロナウイルス感染拡大に伴い、参加予定であった国際学会等が中止となり、発表が次年度以降となったことも理由である。
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