2021 Fiscal Year Research-status Report
新規がん遺伝子Zfp57による発がんの分子基盤の解析
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19K07672
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小出 寛 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (70260536)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん遺伝子 / ES細胞 / 足場非依存性増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにES細胞で発現している遺伝子群の中から、がん遺伝子としての特徴を持つ転写因子Zfp57(zinc finger protein 57)を見出し、この転写因子の発現を抑制するとES細胞やがん細胞の足場非依存性増殖能が低下することを報告している。そこで本研究では、Zfp57遺伝子によるES細胞やがん細胞の足場非依存性増殖能の促進における分子機構を解明することを目的として研究を進めている。2020年度には、Zfp57の下流分子としてインプリンティング遺伝子Peg3を見いだし、この分子の発現を抑制することによってZfp57がES細胞の足場非依存性増殖を促進していることを見いだした。 そこで2021年度は、Peg3の下流分子の探索を行い、Pclaf(PCNA clamp associated factor)をその候補遺伝子として見いだした。ES細胞においてPeg3を過剰発現するとPclafの発現が抑制され、逆にPeg3の発現を抑制するとPclafの発現量は上昇した。このことからPeg3はES細胞においてPclafの発現を抑制していると思われる。Pclafはいくつかのがんにおいてその増殖に関与していることが知られているが、PclafをES細胞において過剰発現するとES細胞の足場非依存性増殖が促進された。これらの結果から、Zfp57が足場非依存性増殖を正に制御しているPclafの発現をPeg3の抑制を介して促進することによって、ES細胞の足場非依存性増殖を促進している可能性が示唆された。 また上記の実験と平行して、Zfp57の場合と同様の方法で、ES細胞に発現している新たながん遺伝子Zfp296を見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により研究を完全に停止していた期間があったために、実験計画が全体的に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Zfp57の下流分子として見出したもう1つのインプリンティング遺伝子Snrpnについて、更なる解析を加える予定である。またZfp296についてもZfp57との関係等を含めて解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの流行により研究を完全に停止した期間があったために、研究の進行が当初の予定よりも遅れてしまったため。2022年度はZfp57の下流分子Snrpnの解析を進めると共に、Zfp57と新たに見出した新規がん遺伝子Zfp296との関係についても解析を進めていく。そのために、解析用の試薬等を購入する予定である。
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