2020 Fiscal Year Research-status Report
Why cancer cells metastasize to lymphatics from the early stage ?
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19K07676
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
山内 明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80372431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 秀一郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10529035)
山村 真弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70299204)
片瀬 直樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30566071)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70379840)
栗林 太 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60251443)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌転移 / 走化性 / リンパ向性転移 / 活性酸素 / S100タンパク質 / リンパ内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌転移ではまずリンパ節転移が観られるが、癌細胞がリンパ組織に侵入する機序は不明である。我々はこれまで独自に開発してきた癌細胞解析方法を用いて細胞同士の相互作用や動態制御を解析する中で、炎症関連分子S100タンパク質がリンパ内皮細胞を刺激し、癌細胞の遊走を活性化する現象を見出した。つまり何らかの“リンパ向性転移因子”が存在することが分かった。この因子はケモカインなど既存の遊走因子とは異なる。本研究では、このリンパ向性転移因子を同定し、なぜ早期からリンパ組織への転移が観られるのか、その機序を解明する。 令和元年(昨年)度の成果では、in vitroでのS100タンパク質刺激の有無によるリンパ内皮細胞の網羅的遺伝子発現解析(DNAマイクロアレイ)を行い、2倍以上の発現上昇92個/減少105個を同定していた。また、低分子物質については活性酸素が癌細胞の遊走を抑える現象を見出していた。 令和2年(本年)度は、上記の分子群が生体内で働いているかどうかを確かめるために、ヒト膵癌細胞株をヌードマウスに接種して生着させた担癌マウスモデルを用いて癌組織(ヒト癌細胞由来および宿主マウス浸潤細胞由来)の遺伝子について、シングルセルRNA発現解析を行った。その結果、上記in vitro実験と同様に発現上昇・減少した分子を含むい遺伝子群が同定され、リンパ内皮細胞での遺伝子発現がin vivoでも確認された。また、in vitroとin vivoで発現が異なる遺伝子群については現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年(昨年)度のin vitro実験に引き続き、令和2年(本年)度ではin vivoでの腫瘍側および宿主側の遺伝子発現を評価して、in vitro/in vivoともに同様に増加・減少する分子群を見出した。また、予想外に見出だした活性酸素の癌細胞遊走抑制現象についても、関連遺伝子を評価することができており、全体として順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、in vitroとin vivoでの発現が同様な分子を見出していることから、これらの分子について、実際にタンパク発現がみられるかどうかを免疫組織染色にて確認する。また、これらの分子について組換えタンパク質を外来性に担癌マウスに投与し、癌転移促進に働くか否かを評価して、これらの分子のうち実際に癌のリンパ向性転移に働く分子を検証する。さらに、投与によって癌転移が促進されたもの分子の中から最も作用の強い分子1-2分子について、ゲノム編集技術をもちいてリンパ内皮細胞におけるノックアウト細胞(in vitro実験用)を作成する。in vitroにてリンパ向性の走化性を亢進することが確認できた後に、ノックアウトマウスの作成を行う。このノックアウトマウスを用いて、リンパ向性転移因子の機能を証明する計画である。
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Causes of Carryover |
令和2年度は主に担癌マウスの網羅的遺伝子発現解析および各種刺激後リンパ内皮細胞への膵癌細胞の走化性の解析を行う消耗品および補助員の人件費として使用させていただいた。設備、実験機器はこれまでの走化性研究において使用していたものをそのまま継続して使用した。学会発表を行ったが、研究機関内の研究費で賄われたため、本補助金から旅費は使用していない。このため若干の残高が発生した。これらは次年度に免疫組織染色や組換えタンパク質作成などに使用させていただきたいと考えている。
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Remarks |
川崎医科大学 生化学教室 https://m.kawasaki-m.ac.jp/classroom/course.php?id=203
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