2021 Fiscal Year Annual Research Report
Why cancer cells metastasize to lymphatics from the early stage ?
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19K07676
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
山内 明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80372431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 秀一郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10529035)
山村 真弘 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70299204)
片瀬 直樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30566071)
阪口 政清 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70379840)
栗林 太 川崎医科大学, 医学部, 教授 (60251443)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌転移 / 走化性 / リンパ向性転移 / 活性酸素 / S100タンパク質 / リンパ内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの癌において転移の初期にはリンパ節転移が観られるが、癌細胞が原発巣から最初にリンパ組織に侵入する機序は不明である。我々はこれまで炎症関連分子S100タンパク質がリンパ内皮細胞を刺激し、癌細胞の遊走を活性化する現象を見出した。つまり何らかの“リンパ向性転移因子”が存在することが示唆されている。この因子はケモカインなど既存の遊走因子とは異なる。本研究では、このリンパ向性転移因子を同定し、 なぜ早期からリンパ組織への転移が観られるのか、その機序を解明する。 初年度(R元年度)には、in vitroでのS100タンパク質刺激の有無によるリンパ内皮細胞の網羅的遺伝子発現解析(DNAマイクロアレイ)を行い、発現上昇92遺伝子/減少105遺伝子を同定していた。また、低分子物質については活性酸素が癌細胞の遊走を抑える現象を見出していた。 2年目(R2年度)には動物実験にて担癌マウス(ヒト膵癌)の組織のシングルセル解析を行い、癌組織に浸潤してきたマウス細胞の遺伝子発現解析から、少数ながらリンパ系細胞の遺伝子発現の変化を見出した。 3年目(R3年度)の今年度は上記の遺伝子発現の結果から実際にリンパ管侵入に関わる因子のタンパク質レベルでの同定を試みた。その結果についてはmRNA発現とタンパク質発現の相関がない分子が多く、同定までには至っていない。そこで現在、リンパ管系と似たような挙動を示す血管系細胞(血管内皮細胞)について解析し、リンパ管系の解析の糸口としている。 今後は血管内皮細胞を用いた膵癌細胞走化性促進因子の解析結果を基に、リンパ管系細胞と比較することで、リンパ内皮細胞特異的な膵癌細胞の走化性および浸潤能を促進する因子を同定する。さらに該当する遺伝子のノックダウンまたはノックアウトを細胞レベル(in vitro実験)またはマウス(in vivo実験)で行い、該当する因子の機能を証明する。
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