2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a selective inhibitor of Activin and its application in a cancer-bearing mouse model
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19K07683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森川 真大 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (80775833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ミオスタチン / TGF-β / 骨格筋肥大 / Fc融合蛋白 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、TGF-βファミリー分子の一つであるアクチビンとそれに極めて類似する一部ファミリー分子を選択的に阻害する新規Fc融合蛋白を開発し評価することを目指している。既に確立している精製法を用いて当該Fc融合蛋白を大量調整し、担癌マウスモデルを用いて治療効果の有無を評価することを予定した。 2020年度までに、新規Fc融合蛋白を十分量調整した。骨格筋肥大効果を認めたものの、新規Fc融合蛋白が局所投与でしか使用できない可能性が考えられた。そこで、Fc融合蛋白の作成方法に関して検討を加え、通常用いられる2価Fc融合蛋白ではなく、Knobs-into-Holes法を利用して1価(1本腕)のFc融合蛋白を作成した。レポーター細胞を用いた系で1価Fc融合蛋白を評価し、1価Fc融合蛋白がアクチビン、GDF8、GDF11を阻害し、BMP6、BMP9を阻害しないことを確認した。 マウスを用いた生体での実験も実施し、2価Fc融合蛋白は腹腔注後に血中濃度が上昇しなかったが、1価Fc融合蛋白では血中濃度が上昇することを確認した。また、1価Fc融合蛋白を正常マウスに腹腔注後、用量依存的に全身の骨格筋肥大を確認した。さらに、デュシェンヌ型筋ジストロフィーモデルであるmdxマウスに1価Fc融合蛋白を投与した。陽性対照としてActRIIB-Fc、陰性対照としてコントロールFcを用いた。1価Fc融合蛋白で骨格筋肥大と前肢握力の改善を認め、その効果は副作用のために開発が中断している製剤ActRIIB-Fcと同等だった。さらに、1価Fc融合蛋白投与群では、マクロ解剖所見や組織学的所見で明らかな異常を認めなかった。以上の結果をもとに、成果の取りまとめを行い、論文投稿の準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度までで、目標としていた全身投与可能な1価Fc融合蛋白を開発することに成功した。当該Fc融合蛋白を十分量調整し、in vitro、培養細胞での評価も完了している。さらに、正常マウスに全身投与することで用量依存的に全身の骨格筋肥大を認め、筋ジストロフィーモデルマウスでも治療効果が認められている。この治療効果は先行製剤(ActRIIB-Fc)と同等であり、先行製剤で認められた副作用は1価Fc融合蛋白投与群では認められなかった。 当初予定していた担癌マウスモデルでの評価が遅れているものの、Fc融合蛋白の効果が十分であることから、現在成果の取りまとめを行っている。おおむね当初予定通り順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1価Fc融合蛋白の骨格筋肥大効果について、成果を取りまとめて論文発表する。 また、今回作成した1価Fc融合蛋白を担癌マウスモデルなどで使用し、治療効果を評価する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症蔓延のため、動物実験の実施が一時困難になり、次年度に延期することとしたため。
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Research Products
(2 results)