2019 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索のシナプスを介したメラノーマ細胞とがん微小環境の相互作用メカニズムの解明
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19K07689
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
穂積 俊矢 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (10597222)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん微小環境 / 神経 / ライブイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究報告から、がん微小環境中の神経軸索が、がんの浸潤や拡大に関与することが示唆されている。しかし、神経軸索とがん細胞がどのように相互作用しているかは明らかにされていない。申請者は、生体内でがん細胞の挙動の観察が容易であるメラノーマゼブラフィッシュモデルを用いて、がん細胞と神経軸索との相互作用に関与する分子メカニズムの解析を行った。これまでの観察から、メラノーマ細胞はコリン作動性神経が分布している筋肉組織に浸潤することを明らかにした。メラノーマ細胞において、神経伝達物質受容体の発現を調べたところ、ニコチン性アセチルコリン受容体であるchrna1とchrnb1の発現が認められた。また、このメラノーマ細胞において、ニコチン性アセチルコリン受容体のマーカーであるαブンガロトキシンの分布が検出された。加えて、ニコチン性アセチルコリン受容体の阻害剤であるMecamylamine処理により、メラノーマの浸潤が抑制されたことから、ニコチン性アセチルコリン受容体がメラノーマの浸潤に関与することが示唆された。 申請者はメラノーマ細胞と神経軸索の相互作用を経時的に観察するために、シナプスがGFPで可視化できるトランスジェニックゼブラフィッシュ系統(hsp70:Syp-GFP)を作製した。この系統を用いてライブイメージングを行ったところ、メラノーマ細胞が筋肉組織に浸潤する際に、メラノーマ細胞の仮足が神経軸索の方向に伸長している様子や、逆に神経軸索末端がメラノーマ細胞に移動している様子が観察された。
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