2020 Fiscal Year Research-status Report
Evolutionary machanism of pancreatic ductal adenocarcinoma mediated by (pro)renin receptor
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19K07690
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
柴山 弓季 香川大学, 医学部, 研究員 (90401190)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | (プロ)レニン受容体 / 膵管癌 / ゲノム不安定性 / ドライバー遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(プロ)レニン受容体(以下、(P)RR)を過剰発現させたヒト膵管上皮細胞を用いて膵管癌のゲノムの多様性をもたらす進化メカニズムを明らかにすることである。2020年度では、膵管癌の代表的なドライバー遺伝子として知られるKRAS, p53, p16, SMAD4における体細胞突然変異についてサンガーDNAシーケンスを用いて明らかにした。また、がんの病理診断として扱われる細胞核の形態的特性についても調べた。2020年度の研究実績は、以下の2点である。 1.(P)RR過剰発現ヒト膵管上皮細胞(HPDE-1/E6E7)の継代数20において、がん抑制遺伝子として知られるp16_exon 1領域の複数箇所で塩基置換および欠失を確認した。また膵管癌患者の90%以上で確認されているKRAS_exon1領域でも複数箇所で塩基置換の存在を明らかにした一方、最も突然変異が確認されているKRAS codon 12 (G12D)における体細胞突然変異は認められなかった。また、継代数20未満の(P)RR過剰発現ヒト膵管上皮細胞集団では、上記4遺伝子における体細胞突然変異の存在は認められなかった。 2.2種類の(P)RR過剰発現ヒト膵管上皮細胞(HPDE-1/E6E7, HPDE-6/E6E7;継代数6)を用いて核染色のために用いられるパパニコロウ染色によって核形態を定量的に評価した。(P)RR発現が増大することによって、がんの悪性度が高くなるほど生じるとされる多核化、核の巨大化といった形態が顕著であった。さらに、核のサイズが(P)RRを過剰発現していない正常細胞集団と比較して有意に多様化した。また、染色体の融合や切断といった染色体異常も認められた。 上記の研究成果の一部は、Shibayama et al. (2020) Communications Biology 3, 724に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継代数20の(P)RR過剰発現ヒト膵管上皮細胞において膵管癌のドライバー遺伝子(KRAS, p16)の体細胞突然変異を認めたとともに、継代数6において顕著な染色体構造変異の存在を認めた。こららの事実は、膵管癌の代表的な体細胞突然変異が検出される以前に、染色体構造変異が存在することを意味する。現在、膵管癌では2つの進化モデルが提唱されている。つまり、KRASやTP53といったドライバー変異が段階的に挿入される漸進的進化と染色体構造変異が生じた結果、悪性化へのスピードが上昇する断続的進化があり、(P)RR過剰発現ヒト膵管上皮細胞から得られたデータに基づけば、後者の断続的進化を支持することが考えられる。本研究の目的である膵管癌の進化メカニズムの解明に結びつく重要な知見が得られたことから、順調に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
再現性を得るために、これまでに作製した3種類の(P)RR過剰発現ヒト膵管上皮細胞において継代数ごとに染色体構造変異と膵管癌のドライバー遺伝子の体細胞突然変異の存在を確認していく。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Aberrant (pro)renin receptor expression induces genomic instability in pancreatic ductal adenocarcinoma through upregulation of SMARCA5/SNF2H2020
Author(s)
Shibayama,Y., Takahashi, K., Yamaguchi, H., Yasuda, J., Yamazaki, D., Rahman, A., Fujimori, T., Fujisawa, Y., Takai, S., Furukawa, T., Nakagawa, T., Ohsaki, H., Kobara, H., Wong, J.H., Masaki, T., Yuzawa, Y., Kiyomoto, H., Yachida, S., Fujimoto, A., Nishiyama, A.
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Journal Title
Communications Biology
Volume: 3
Pages: 724
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Antiproliferative effects of monoclonal antibodies against (pro)renin receptor in pancreatic ductal adenocarcinoma2020
Author(s)
Asadur Rahman , Makoto Matsuyama , Akio Ebihara , Yuki Shibayama , Arif Ul Hasan , Hironori Nakagami , Fumiaki Suzuki , Jiao Sun , Tomoe Kobayashi , Hiroki Hayashi , Daisuke Nakano , Hideki Kobara , Tsutomu Masaki , Akira Nishiyama
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Journal Title
Molecular Cancer Therapeutics
Volume: 19
Pages: 1844-1845
DOI
Peer Reviewed
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