2020 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイド技術を用いた肺扁平上皮癌の発癌、進展機序の解明
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19K07699
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
深澤 拓也 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20379845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猶本 良夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00237190)
山辻 知樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40379730)
高岡 宗徳 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50548568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺癌 / 扁平上皮癌 / ゲノム編集 / オルガノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌の約3割を占める肺扁平上皮癌への有効な分子標的治療は未確立であり、発生メカニズムの根幹に関わる研究が求められている。肺扁平上皮癌が如何に発生するのかについては不明な点が多く、特に近年増加傾向にある末梢型扁平上皮癌の発生機序は未解明である。これまでに我々は、肺扁平上皮癌に対し、ゲノム編集を用いてドライバー遺伝子を抑制することで、抗腫瘍効果を誘導できることを明らかにしている。また我々は、正常肺組織由来オルガノイドの6ヶ月以上の長期培養に成功しており、この正常オルガノイドのゲノムの指定領域内に、ゲノム編集により薬剤耐性遺伝子をノックインすることで癌化を誘導する予定である。編集の方法として、相同組み換え(HR)およびマイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)を利用して外来遺伝子を挿入するPITCh法の2種があり、正常肺組織由来オルガノイドの場合、いずれの方法で効率よくノックインが可能かを検討したところ前者の方法でノックイン効率が高いことが明らかとなり、現在HRにより、PTENおよびCDKN2A遺伝子のダブルノックアウトに必要なベクター作製を行っている。またプラスミドベクターの正常肺組織由来オルガノイドへの導入に対し、当初エレクトロポレーション法を行っていたが、細胞障害性が強く、導入後のオルガノイドが増殖しないという予想外の結果となった。現在リポフェクション法への変更を行うことで、導入を再開している。 一方、肺扁平上皮癌オルガノイドへのCRISPR interference法を用いた実験の結果から、扁平上皮癌の進展に関与し、幹細胞性にも関与するSOX2遺伝子を抑制することで、このオルガノイドの増殖を制御できる結果が得られており、他遺伝子との関連を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子導入後の細胞障害から導入法を変更し、再実験に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
HR法を用いた標的遺伝子ノックアウトを行い、扁平上皮癌発症機序解析を進める。
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Causes of Carryover |
購入試薬が安価に抑えられたため、次年度使用額が生じた。 樹立オルガノイドに対するゲノム解析費用、アデノウイルスベクター精製費用に使用する。
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Research Products
(3 results)