2019 Fiscal Year Research-status Report
GSK3βによるがん促進的糖代謝特性の解明と制御への応用
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19K07710
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堂本 貴寛 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (80635540)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー / 大腸がん / GSK3β / がん代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにがん細胞で異常な発現と活性を示すGSK3βのがん促進作用を大腸がんや難治・希少がんで発見し 、その阻害による治療効果を実証してきた。本研究では、GSK3βが解糖系を亢進することで大腸がん細胞の乳酸を介するオートファジーを駆動して、がんの増殖や悪性化を促進しているのかを明らかにするため、GSK3β誘導性の糖代謝特性に着目して検討する。そして、がん細胞における解糖系亢進と細胞の生存を支えるオートファジーの両者を一連の経路として認識し、GSK3β阻害によるがん治療作用をがん細胞の栄養獲得機構の視点から解明する。本年度は下記の研究計画を実施した。 (1)大腸がん細胞における乳酸産生とオートファジー関連分子発現の比較解析 大腸がん細胞では正常大腸上皮細胞と比較して、乳酸分泌が亢進されていたが、GSK3β阻害剤を処理することによって乳酸分泌が有意に減少することを見出した。また、培地中に乳酸を添加することによって大腸がん細胞のオートファジーを誘導できることを確認した。 (2)マウス大腸がん細胞移植腫瘍におけるオートファジー活性状態の解析 マウス移植腫瘍を対象にオートファジー関連分子の発現を免疫染色で検討した。その結果、移植腫瘍におけるLC3やBeclin1の発現がGSK3β阻害剤(AR-A014418, SB-216763)の投与によって減少することを見出した。また、これらと同一個体のマウス移植腫瘍でp62/SQSTM1がGSK3β阻害によって過剰蓄積したことから、GSK3βはオートファジーを活性化することによって腫瘍形成を促進していることが示唆された。現在、解糖系からオートファジーへの作用を明らかにするため、LDH(乳酸脱水素酵素)の発現状態について解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた活性型GSK3βの強制発現実験を実施できなかったが、次年度に予定していたマウス移植腫瘍の解析が進んだため、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度内に完了できなかった培養細胞の乳酸産生経路における各遺伝子発現解析を次年度に引き続き実施する。 補助事業期間中の研究計画に変更はない。
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Research Products
(3 results)