2019 Fiscal Year Research-status Report
Overcoming resistance to new drug in hematological malignancy tageting LncRNA.
Project/Area Number |
19K07716
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
市川 大樹 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (60462793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / レナリドミド / 耐性 / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫(MM)は, B 細胞の最終分化段階である形質細胞の腫瘍性疾患であり, モノクローナルな免疫グロブリン(M 蛋白)の存在と溶骨性変化や腎障害などの臨床症状を特徴とする. 近年, 免疫調節薬(Immunomodulatory Drugs: IMiDs)であるサリドマイド, レナリドミド, ポマリドミド, さらにプロテアソーム阻害剤(Proteasome inhibitors: PI)であるボルテゾミブ, カルフィルゾミブの登場により, MM患者の生存率は改善してきている. しかしこれらのIMiDs をもってしても治療抵抗性を示す多発性骨髄腫も存在する. 我々は多発性骨髄腫患者由来の多発性骨髄腫細胞株において, レナリドミドの標的分子であるCRBNに対する基質が分解されているのにも関わらず, アポトーシスを誘導しない細胞株を見出している. そこで, その耐性機序を明らかにすることで新規治療の開発に繋げていくことを目的としている. これまでに遺伝子発現量についてDNA microarray用いて網羅的な解析を行った. 得られた結果からレナリドミド感受性細胞株で上昇しているlncRNAやレナリドミド耐性株で上昇しているlncRNAについてクラスター解析及びGSEAを行い, 候補lncRNAの絞り込みを行った. 得られたlncRNAのいくつかについては, すでにノックダウン細胞株の樹立を行い, レナリドミドに対して感受性・抵抗性の関連性について評価済みである.一方, 現時点で評価を終えていないlncRNAについてはRT-PCR法による発現確認およびノックダウン細胞株の樹立をさらに行っている段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の2019年度研究計画は, IMiDs(レナリドミド)感受性株と耐性株とで差異のある分子の網羅的同定を行い, 続いて同定したlncRNAのレナリドミド誘導細胞死への影響に関して,ノックダウン細胞株の樹立, レナリドミド誘導細胞死への影響について検討を行うことであった. 実際の状況は,レナリドミド感受性と耐性株で差異のある遺伝子については網羅的に解析が終わっている. 一部の遺伝子についてはノックダウン細胞株を作製し, レナリドミド誘導細胞死について影響を及ぼすのかを検討した. これらの結果よりレナリドミド誘導細胞死に影響を与えなかったものを候補より外した. 現時点で評価を終えていないlncRNAについては, レナリドミド誘導細胞死に関連性があるのかを検討中であり, 概ね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は下記の通り遂行する. 1.同定した候補lncRNAのノックダウン細胞株の樹立と実際にレナリドミド誘導細胞死への影響をMTT法により検討する. 2.実際にレナリドミド処理で細胞死に影響のあったlncRNAについて, どのような分子機構でレナリドミド誘導細胞死に関与しているかを調べるために, DNA microarrayおよびGSEA, KEGG pathwayなどにより変動のある遺伝子群の同定する. 3. 実際にレナリドミド処理で細胞死に影響のあったlncRNAがどのように関与するのかを調べるために, 結合分子の同定を行いレナリドミドへの耐性について評価する. 実際には, lncRNAの3’末端にビオチン標識し, ストレプトアビジン結合Dynabeadsを用いて沈降後に種々の処理を行う. 相互作用する分子がタンパク質である場合にはMALDI/TOF-MSにて, DNA・RNA分子である場合にはシークエンス解析により同定する. 4. 同定したlncRNA結合分子とレナリドミド耐性機構との検討するために, 結合分子に対する阻害剤の処理およびノックダウンMM細胞株や過剰発現MM細胞株を作製することで確認する.
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