2020 Fiscal Year Research-status Report
Overcoming resistance to new drug in hematological malignancy tageting LncRNA.
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19K07716
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
市川 大樹 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (60462793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / IMiDs / 耐性 / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫はレナリドミドなどの薬剤を用いても治癒には至らず絶対予後不良である. さらには, それらの薬剤に対する耐性や2次性発がんが懸念されている. 我々が見出したレナリドミド結合タンパク質であるCRBNの基質が分解されてもアポトーシスを誘導しない細胞株(レナリドミド耐性骨髄腫細胞株)を用い, その分子機構について研究を進めている. これまでにDNA mciroarray・GSEA解析により, 耐性株で上昇するlncRNAとして9種類, 感受性株において3種類を同定している. 耐性株で上昇するlncRNAのうちノックダウンした7種類については, レナリドミドの感受性に影響は得られなかった. 一方, 感受性株において上昇しているlncRNAについては, 一部レナリドミドによるアポトーシスが抑制されることを見出している. またこれらのlncRNAについては, MM CoMMpass Studyにより得られた大規模な患者のRNA-seq dataを用いて, その遺伝子の高・中程度・低発現患者の3群を分けて全生存期間(OS)を確認した. そのうち2つのlncRNAが共に高発現もしくは低発現患者間において比較した結果, 低発現患者において予後不良であることを見出している. さらに, それらの患者群間においてどのような遺伝子群が変動しているのかをGSEA解析を行った結果, 低発現患者においてZHAN MULTIPLE MYELOMA MS UPという遺伝子群がエンリッチされることを得た. この遺伝子群は, 我々が発見した耐性株において上昇する遺伝子群においても同定されている. この遺伝子群については, 過剰発現およびノックダウン細胞株の樹立を終え, レナリドミド感受性に影響を与えることができるか解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書の2020年度研究計画は, 2019年度に終えることのできなかった内容と, lncRNAの分子機序およびlncRNAにより制御される遺伝子群の同定・機序の解明であった. 実際の状況は, 2020年度にCOVID-19による緊急事態宣言に伴い, 研究施設の使用制限が1ヶ月以上ありその期間研究を行えなかったことにより, やや遅れている状況である. レナリドミド感受性に関係するlncRNAの同定および, そのlncRNAにより制御されていることが推測される遺伝子群についてはMM CoMMpass StudyのRNA-seq dataより同定を終えることができた. そのうち一部の遺伝子については過剰発現およびノックダウン細胞株を樹立したが, 機序の解明については現在解析中である.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は下記の通り遂行する. 1. 同定したlncRNA制御分子が実際にレナリドミド誘導細胞死に対して影響するのをMTT法およびFACSにより検討する. 2.実際にレナリドミド処理で細胞死に影響のあったlncRNA制御分子について, どのような分子機構でレナリドミド誘導細胞死に関与しているかを調べるために, DNA microarrayおよびGSEA, KEGG pathwayなどにより変動のある遺伝子群を同定する. 3. lncRNAがその制御分子をどのように調節するのかを解明するために, 制御分子のプロモーター領域DNAのメチル化を検討する. 必要に応じて脱メチル化剤併用によりレナリドミド感受性に対して影響があるのかを解析する. 4. in vivoにおけるlncRNAの有効性を検討するために, lncRNAをノックダウンさせたレナリドミド感受性細胞株をSCIDマウスを皮下に投与する. 一定期間増殖させた後に,レナリドミドを投与し, 骨髄腫細胞株の増殖に影響があるのかを検討する.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による緊急事態宣言により研究施設の一時使用制限があり, 当初計画していた網羅的解析まで到達しなかったことと, 新型コロナ感染症により渡航を伴う学会の参加を見合わせたことにより差額が生じた. 差額分については, 予定している網羅的解析費用として使用予定である.
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