2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of gadolinium neutron capture therapy agent for next-generation radiation therapy applied for bone cancer
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19K07717
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ガドリニウム / 中性子捕捉療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代のがん放射線治療法の開発に向けて、ガドリニウムを含む中性子捕捉療法用製剤であるTetra (methylene phosphonic acid) chelate of Gd (Gd-EDTMP)の組織分布と腫瘍動物モデルへの熱中性子照射の影響を評価した。これまでのMRI造影剤研究の知見から、Gd製剤は腎性全身性線維症(NSF)と呼ばれる皮膚の線維化や、まれに横紋筋肉腫や腱の石灰化を引き起こすことが知られている。 そこで当年度は、Gd-EDTMPの分布と安全性を調べるために、マウスを用いたin vivo投与試験を行い、用量依存性に着目した基礎研究を行った。組織内の157Gdの分布は,レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)でイメージングした。塩化ガドリニウムとEDTMPからGd-EDTMP溶液を調製し、BALB/cAJcl雌マウス(5週齢)に、5、10、もしくは20mg/kg体重のGd-EDTMP(1mg-Gd/ml)のリン酸緩衝生理食塩水溶液を単回腹腔内投与した(n=2または3)。投与後21日目まで、マウスに自由摂取の餌と水を与え全身状態を観察した。体重は投与後6日目までは2日ごとに,その後は3~5日ごとに測定した。安楽死の後、下肢の骨と筋肉を採取し、Gdの分布を観察した。その結果、Gd-EDTMPを単回腹腔内投与することで、本製剤の標的である骨にGdの高い濃度集積が得られることがわかった。また、投与量20mg/kgでも、一時的な体重減少のほか重篤な影響は確認されなかった。一般的に中性子捕捉療法は、標的腫瘍中の中性子捕捉元素の濃度がppm(parts per million)オーダーであれば効果が期待できる。適用対象を骨腫瘍に限定することで、Gd-EDTMPは中性子捕捉療法に十分に利用できる可能性があると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行のため、中性子照射の実験を行うために用いている施設である京都大学複合原子力科学研究所への立ち入りが制限された。そのため当初予定していた照射実験が制限された。
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Strategy for Future Research Activity |
骨に十分にGd-EDTMP製剤が濃集することが明らかになったことから、担癌マウスモデルにて中性子照射による治療効果を検討する。若年マウスでは、骨端線にGdが集積することから、老齢マウスなどを用いることにより、実際の骨転移腫瘍患者に近いモデルマウスを検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行にともない、本来、出張して実験する予定であったが、出張がままならなかった。
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