2019 Fiscal Year Research-status Report
Practical research for biomarkers predicting tumorigenesis in polymyositis and dermatomyositis
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19K07719
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
加藤 和則 東洋大学, 理工学部, 教授 (60233780)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 皮膚筋炎 / 多発性筋炎 / 病態悪化マーカー / 間質性肺炎 / CD146 / Galectin3 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、治療抵抗性かつ悪性腫瘍を合併しやすい難治性膠原病(多発性筋炎・皮膚筋炎)の病態悪化および癌化を予測する新規バイオマーカー(可溶化蛋白質、自己抗体)の検出システムの探索、および実用化研究を実施する。具体的なバイオマーカーとしては、活性化免疫細胞・炎症性血管内皮・線維芽細胞および悪性腫瘍で高発現するCD146, CD213a, CD276, CPM,抗CD146自己抗体,抗B7-H3自己抗体を病態悪化バイオマーカー候補として、高感度検出系を樹立し病態悪化および合併症との相関を検討する。またこれまでの研究で確立済みの新規腫瘍バイオマーカー(EphA2, TROP2)も同時に測定し、これら候補バイオマーカーの産生機序および機能を解明し、難治性膠原病の新たな病態悪化マーカーの基盤研究を実施する。 これまでの我々の研究において全身性強皮症(SSc)およびベーチェット病の自己免疫性疾患患者では、血中に可溶化CD146分子および抗CD146自己抗体が存在することを示してきた。そこで本研究では自己免疫性筋炎患者(多発性筋炎、皮膚筋炎)を対象に、病態進行とともにバイオマーカー蛋白質値が上昇する場合と、自己抗体値が上昇する場合を想定し臨床病態との相関を解析する。具体的には新規バイオマーカー候補であるCD146、およびCD146に結合性を有する自己抗体およびリガンド分子(Galectin3等)の測定システムを検討する。測定系が構築できたら、対象患者血清を経時的に測定し、病態や合併症との関連を解析する。また抗CD146自己抗体およびGalectin3の生物学的機能(アゴニスト活性、アンタゴニスト活性)を、血管内皮細胞、免疫細胞などを用いて解析し、病態悪化の原因因子としての可能性を探究することが、本研究の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は研究代表者らがこれまでに樹立してきた高性能抗体を用いて、膠原病の病態進行に関連すると考えられるバイオマーカーCD146(MCAM)の高感度検出系を樹立し、多発性筋炎、皮膚筋炎をはじめとした自己免疫性疾患患者(71例)の血清検体を測定した。その結果、全身性強皮症(SSc)患者と同様に、多発性筋炎患者(PM)において血中の可溶化CD146値が有意に高値を示すことを確認した。また皮膚筋炎患者(DM)でも有意な上昇を認めたが、患者間のCD146値に大きなバラツキがあり、病態が進行している患者ほど、逆にCD146値が低値になることが判明した。これはSSc患者で認められた傾向と同様であった。 その理由を解決するために、CD146に結合する分子の存在を皮膚筋炎患者血清を用いて検討した。その結果、可溶化CD146に結合活性を有する抗CD146抗体およびガレクチン3(Galectin3)の存在が示唆され、その値はDM患者で有意に高いことを確認できた。現在、皮膚筋炎、多発性筋炎患者で発症する間質性肺炎との関連を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究で、自己免疫性筋炎患者において可溶化CD146分子、抗CD146自己抗体およびGalectin3の存在が明らかになったので、次年度は病態悪化(特に間質性肺炎)との関連を検討する予定である。具体的には、①生化学的炎症マーカーとの相関性、②炎症性サイトカイン値との相関性、③治療前後における自己抗体価およびGalectin3の変動、④自己抗体およびGalectin3の生物活性、等を検討する予定である。また筋炎組織および間質性肺炎組織におけるこれらの分子の発現変化を免疫組織染色法で測定をする。 さらに、悪性腫瘍を併発した患者における、CD146関連マーカーの発現変化および新規腫瘍マーカーEphA2,B7-H3の測定系の構築を検討する。測定系は従来のELISA法のみならず、イムノクロマト法や蛍光ビーズ法などの簡便な手法の開発も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究費の執行はほぼ予定通りに進めることができた。2020年3月に研究成果の学会発表(日本薬学会年次総会)の旅費を計上する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大のために学会が中止となり旅費を執行しなかったので、残額が生じた。 次年度に繰り越す金額は、2021年3月に開催される同学会で発表する為の旅費として使用する予定である。
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