2022 Fiscal Year Annual Research Report
APOBEC3Gを分子標的とする新たな放射線増感剤の開発研究
Project/Area Number |
19K07734
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小野寺 貴恵 (山内貴恵) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20535736)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | APOBEC3G / 放射線増感 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍の放射線感受性を選択的に増強する作用のある放射線増感剤は、放射線治療と併用することで放射線による治療効果を高める効果を持つ薬剤であり、照射量、投与量の低減化による副作用の減少や再発時にも十分な再照射が可能なことによる局所制御率の向上につながると期待される。しかし、現時点では臨床に定着した増感剤はほとんどなく、新たな放射線増感剤や標的分子の同定が望まれている。 本研究では、これまでに研究室において標的分子の候補として同定されたシチジンデアミナーゼであるAPOBEC3Gに着目し、阻害剤のスクリーニング系の構築および、APOBEC3G阻害による放射線増感の分子機序の解明を目的とする研究を行った。 APOBEC3Gのデアミナーゼ活性を指標として阻害作用を評価するスクリーニング系を構築し、ハイスループット化や高感度化を目指したスクリーニング系の至適化を試みた。また、APOBEC3Gタンパク質はX線結晶構造解析や核磁気共鳴によりその立体構造や基質認識機構が解明されていることから、構造情報を利用した化合物ライブラリーを構築することによるスクリーニングの効率化等を検討したが、現在のところAPOBEC3Gのデアミナーゼ活性を阻害する化合物の取得には至っていない。 また、APOBEC3G阻害による放射線増感のメカニズムは未解明の部分が多いことから、創薬のターゲットサイトを絞り込むために、APOBEC3G阻害による放射線増感作用の分子機構の解析を並行して進めた。特定のがん細胞株において、siRNAを用いたAPOBEC3Gノックダウン条件下では放射線照射によるDNA損傷に対する修復経路の活性化に遅延をもたらすことで放射線に対する感受性が亢進することが示唆された。
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