2020 Fiscal Year Research-status Report
尿中抗体を利用した膀胱がん早期診断マーカーの獲得と診断キット開発に向けた検討
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19K07738
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
長塩 亮 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (40618568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朽津 有紀 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70878272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膀胱がん / 診断マーカー / 尿中自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱がんをより早期に検出でき、かつ簡易検査で使用可能なマーカーの獲得を目指し、膀胱がん患者尿中の自己抗体に着目した研究を進めている。昨年度の研究において膀胱がん患者尿から回収した尿中抗体を一次抗体として、膀胱がん細胞株のタンパク質を対象とした二次元免疫ブロット法を行い、患者尿中の自己抗体が認識する抗原スポットを検出した。これらの検出された抗原タンパク質スポットをゲルから切り出し、トリプシンを用いたゲル内消化後、質量分析装置(LC-MS)にてタンパク質を同定した。同定された分子の中には少数例の膀胱がん患者検体ではあるが8割以上の患者で反応性を示したタンパク質も検出されていた。本年度はそれらのタンパク質の合成を行いELISA法の構築を試みた。ELISA法に使用するタンパク質の量の確保が困難であり、合成を続けてはいるが、より少量の抗原タンパク質で自己抗体の測定が可能なエバネセント波励起蛍光法による測定系の構築も同時に進めている。この手法は必要なタンパク質量が少なくて済むのに加え、B/F分離(洗浄操作)を必要としないホモジニアス測定が可能であるため、抗原との親和性が低い自己抗体の検出も可能であるという利点がある。測定計の構築に当たり、膀胱がん患者尿での陽性率が高く、膀胱がんに関連した報告のある分子について進めているが、測定系の構築が完了し、膀胱がん患者尿中の抗体量を測定可能となった際には、他の抗原タンパク質にも対象を広げ、膀胱がんの早期診断マーカーとしての有用性の確認を進めていく。良好な結果が得られたマーカー候補については、イムノクロマト法を構築するために、市販のキットを用いて、自己抗体が認識する抗原タンパク質を使用した膀胱がん診断のための自己抗体診断キットのプロトタイプの作製を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大の影響への対応などにより、計画通りに進んでいない部分がある。遅れている部分については次年度に取り組む。大量のタンパク質の合成が必要なELISA法から、より少量のタンパク質で実行可能なエバネセント波励起蛍光法に変更し、時間の短縮を図ることで対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
検出された尿中自己抗体について、膀胱がんの診断マーカーとして有用かどうかの判断するため、抗原量の確保が難しいELISA法ではなく、より少量の抗原タンパク質で自己抗体の測定が可能なエバネセント波励起蛍光法により測定を行う。本手法はタンパク質の必要量が少なくて済むのに加え、B/F分離(洗浄操作)を必要としない。このエバネセント法により、膀胱がんの早期診断マーカーとしての有用性の確認を進めていく。良好な結果が得られたマーカー候補については、簡易な検査として使用可能なイムノクロマト法を構築し、膀胱がん診断のための自己抗体診断キットのプロトタイプの作製を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響への対応などにより、計画通りに進んでいない部分がでた。進んでいない部分については2021年度に取り組み、計画の遅れを取り戻す。大量のタンパク質の合成が必要なELISA法から、より少量のタンパク質で実行可能なエバネセント波励起蛍光法に変更し、時間短縮を行う。次年度使用額についてはマーカー候補となる自己抗体が認識する抗原タンパク質の購入費用として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)