2021 Fiscal Year Research-status Report
in vitro分化誘導した長期生存形質細胞を用いた革新的薬剤投与法の開発
Project/Area Number |
19K07747
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
羽根田 正隆 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 研究員 (50436995)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / B細胞 / 形質細胞 / 抗体医薬 / スプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究のゴールは、末梢血中のナイーブB細胞をゲノム編集により元々の抗体産生機能を欠失させると同時に抗体医薬をノックインし長期生存形質細胞へと分化誘導することである。長期生存形質細胞を利用できれば抗体医薬を産生し続けることで繰り返し薬剤を投与する必要がなくなり、医療経済的にも有用な手段と考える。 本年度は、前年に続きイムノグロブリン重鎖IgHμ定常領域に対するgRNAの選定を行った。重鎖が軽鎖と重合する際には定常領域CH1のシステインを利用し、重鎖同士が重合する場合にはCH2のシステインを利用するため、CH1およびCH2エクソンのスプライシングを阻害するようintorn-exonを跨ぐ形で設計を行なった。IgLκに関しては新たに重鎖と重合するシステインをターゲットに設計を行ない、in vitroでDNA切断効率について検討した。 また、Cas9蛋白質gRNA複合体(RNP)を細胞内に移入する方法としてトランスフェクション試薬を利用した。しかし末梢血B細胞には毒性の為、効率よくRNPを導入することが出来ず、他の試薬を用いて検討を行なっている。また末梢血B細胞を用いて条件検討を行うのは効率が悪い為、ヒト細胞株の中で特にIgM産生が観察されているB細胞を購入し、RNP導入効率や遺伝子編集効率(Indel、HDR)について検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Cas9蛋白質gRNA複合体(RNP)を効率よく細胞内に移入する方法として、エレクトロポレーション(電気穿孔法)とLipofectamine CRISPRMAXなどのトランスフェクション試薬が挙げられるが、当施設にはエレクトロポレーション機器が無いため、トランスフェクション試薬を利用した。しかし末梢血B細胞には毒性の為、効率よくRNPを導入することが出来なかった。文献的にも浮遊細胞へのRNP導入効率は高くなく(Biotechnology Letters.38.919)、特にB細胞では困難と考えられた。現在、他の試薬を用いて検討を行なっている。また末梢血B細胞を用いて条件検討を行うのは効率が悪い為、ヒト細胞株の中で特にIgM産生が観察されているB細胞株(RPMI 1788及びB104)を購入し、RNP導入効率や遺伝子編集効率(Indel, HDR)について検討を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトB細胞株(RPMI 1788及びB104)は初代携帯培養細胞では無いものの、IgMを発現するなどをB細胞としての特徴を有しており、IgMのノックアウト効率を計測するのに適していると考える。今後はRNP導入効率や遺伝子編集効率(Indel、HDR)について検討を行う。 現在までに報告されている形質細胞を利用したタンパク質発現系ではB細胞が持つ元々のイムノグロブリンが産生されたままであり、これをノックアウトすることはとても重要と考える。IgM以外のイムノグロブリンを発現するB細胞を除去し、IgM発現ナイーブB細胞を純化、その後上記遺伝子のゲノム編集を行う。選別したIgHμ CH1・CH2及びIgLκのgRNAがin vivoでも有効か検討を行う。また抗体産生能を欠失した形質細胞への分化誘導およびその生存期間について解析を行う。 Safe habor領域のAAVS1遺伝子へのノックインについてはORIGENE社およびシステムバイオサイエンス社よりドナーベクターが販売されているため、これを利用する。
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Causes of Carryover |
Cas9蛋白質gRNA複合体(RNP)を効率よく細胞内に移入する方法として、エレクトロポレーション(電気穿孔法)とLipofectamine CRISPRMAXなどのトランスフェクション試薬が挙げられるが、当施設にはエレクトロポレーション機器が無いため、トランスフェクション試薬を利用した。しかし試薬によるRNP導入は特に末梢血B細胞には毒性のため、RNPを導入することが出来なかった。他のトランスフェクション試薬について調査・選定に時間を要した。 また末梢血B細胞を用いて条件検討を行うのは効率が悪い為、ヒト細胞株の中で特にIgM産生が観察されているB細胞株について調査・選定に時間を要した。 前年計画していた形質細胞への効率的に分化誘導するためのPAX5・AICDAなどのgRNAやAPRIL・BAFFについては、上記検討の後に購入し、抗体産生能を欠失したIgM産生形質細胞が実際に長期間培養可能か解析を行う。またSafe habor領域のAAVS1遺伝子へのノックインについてはORIGENE社およびシステムバイオサイエンス社より販売されているドナーベクターを購入する。
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