2022 Fiscal Year Research-status Report
in vitro分化誘導した長期生存形質細胞を用いた革新的薬剤投与法の開発
Project/Area Number |
19K07747
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
羽根田 正隆 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫制御TR分野, 研究員 (50436995)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 形質細胞 / ナイーブB細胞 / ゲノム編集 / 抗体医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究のゴールは、末梢血中のナイーブBリンパ球をゲノム編集により元々の抗体産生機能を欠失させると同時に抗体医薬をノックインし長期生存形質細胞へと分化誘導することである。長期生存形質細胞を利用できれば抗体医薬を産生し続けることで繰り返し薬剤を投与する必要がなくなり、医療経済的にも有用な手段と考える。 本年度は、まずヒト細胞株の中で特にIgM産生が観察されているBリンパ球細胞株(JCRB0117 B104およびJCRB0035 RPMI 1788)をJCRB細胞バンクより購入した。B104は重鎖はIgMとIgDを、軽鎖はIgKを細胞表面に発現しいる。またRPMI 1788は重鎖はIgMを、軽鎖はIgLを細胞表面に発現しいる。前年度設計したIgHμの重鎖が軽鎖と重合する際には定常領域CH1のシステインの前方に存在するPAMサイトをターゲットとしたgRNAを作成し、IgMの発現に与える影響について検討を行なった。B104およびRPMI 1788の細胞表面にIgMの発現しないクローンを樹立した。特にIgM- B104ではIgDの発現は保たれておりIgKをノックダウンすることでIgDの発現も減弱化すると思われたが、発現レベルに変化はなかった。そこでIgHδの重鎖が軽鎖と重合する際には定常領域CH1のシステインの前方に存在するPAMサイトをターゲットとしたgRNAを設計・作成した。それぞれを順次ノックアウトすることで、IgM, IgK, IgDの発現しないB104クローンを樹立することができた。 今後は細胞株からヒト末梢血ナイーブ Bリンパ球を使用した実験系に移行し、免疫グロブリン発現のない長期生存形質細胞の樹立を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト細胞株の中で特にIgM産生が観察されているBリンパ球細胞株(RPMI 1788及びB104)を購入し、RNP導入効率や遺伝子編集効率(Indel, HDR)について検討を行う予定であった。しかし購入した細胞株の培養に難渋し、実験の遂行に遅れが生じてしまった。 JCRBの担当者と連絡を取り、現在では安定的に培養・凍結保存・再培養できるようになっている。細胞株を利用した実験結果に基づき、本年度中にヒト末梢血naiveBリンパ球を用いた実験系への移行する予定であったが、実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後直ちに細胞株からヒト末梢血ナイーブBリンパ球を使用した実験系へ移行する。 常染色体劣性高IgM症候群の原因遺伝子の一つであるAICDAが欠損した場合にはIgMからクラススイッチ組換え(CSR)が起こらず、体細胞超変異(SHM)も生じない。マウスの実験系ではあるがIgM産生長期生存形質細胞も存在しうると報告(Nat Commun.2016.Aug16;7:12687)があることから、本年度AICDAのgRNAの設計および作成を行った。 まずヒト末梢血naive Bリンパ球に対してAICDAのgRNAを使用し、クラススイッチ組替えが抑制されたIgM産生形質細胞の分化誘導を行う。次いで本年度確立したIgHμ、IgHδ、Igκ鎖のノックアウトを行い、最終的に免疫グロブリン発現のない形質細胞の樹立を試みる。
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Causes of Carryover |
ヒト細胞株の中で特にIgM産生が観察されているBリンパ球細胞株(RPMI 1788及びB104)を購入し、RNP導入効率や遺伝子編集効率(Indel, HDR)について検討を行う予定であった。しかし購入した細胞株の培養に難渋し、実験の遂行に遅れが生じてしまった。細胞株を利用した実験結果に基づき、本年度中にヒト末梢血naiveBリンパ球を用いた実験系への移行する予定であったが、実現できなかった。今後直ちに細胞株からヒト末梢血naive Bリンパ球を使用した実験系へ移行する。 常染色体劣性高IgM症候群の原因遺伝子の一つであるAICDAが欠損した場合にはIgMからクラススイッチ組換え(CSR)が起こらず、体細胞超変異(SHM)も生じない。マウスの実験系ではあるがIgM産生長期生存形質細胞も存在しうると報告(Nat Commun.2016.Aug16;7:12687)があることから、本年度AICDAのgRNAの設計および作成を行った。 まずヒト末梢血ナイーブBリンパ球に対してAICDAのgRNAを使用し、クラススイッチ組替えが抑制されたIgM産生形質細胞の分化誘導を行う。次いで本年度確立したIgHμ、IgHδ、Igκ鎖のノックアウトを行い、最終的に免疫グロブリン発現のない形質細胞の樹立を試みる。
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