2020 Fiscal Year Research-status Report
The significance of the amino acid transporter as a cancer therapeutic targets as well as therapeutic effect predictive marker
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19K07755
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小栗 鉄也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60363925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前野 健 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (10444952)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミノ酸トランスポーター / LAT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術不能な進行癌の治療は、分子標的治療や免疫チェックポント阻害剤の登場により劇的に変化したが、その恩恵を受けるのはまだ一部の癌種、症例にとどまっており、新たな癌治療の開発研究が必要である。癌細胞は正常細胞に比べ増殖が速く、多くの栄養を必要とする。このため、糖やアミノ酸などの栄養を細胞内へと移送するトランスポーターが重要な働きをしている。本研究は癌細胞特異的なアミノ酸トランスポーターの役割と、その阻害によるたながん治療戦略を目指した研究である。 現在アミノ酸トランスポーターの中で、特にL-type amino acid transporter1(LAT1)に着目し、小細胞肺癌細胞株を用いて癌細胞における役割とその阻害効果についての基礎的研究を行っている。小細胞肺癌細胞株において、LAT1発現とalanine-serine-cysteine transporter 2 (ASCT2) 遺伝子の共発現を確認し、共駆動により癌細胞で働いていること、LAT発現は小細胞肺癌細胞の個々の細胞ごとで発現に個体差があること、下流シグナルであるmechanistic target of rapamycin(mTOR)のシグナルの活性化が細胞増殖へとつながっていることを確認している。このため、LAT1阻害剤であるJPH203による阻害効果について検討を行った。小細胞肺癌胞細胞株にJPH203を暴露すると、濃度依存性に細胞増殖抑制を認めた。LAT1下流シグナルであるmTOR阻害剤との併用による効果を確認するために、小細胞肺がん細胞株にJPH203とmTOR阻害剤RAD001を暴露したところ、mTORシグナル伝達経路の活性化状態は低下を認めたが、腫瘍増殖抑制効果の増強は認めなかった。そこで小細胞肺がん細胞株のLAT1発現と増殖能を確認するために、siRNAによる一過性のLAT1発現抑制を行い、細胞増殖能を検討したところ、やはり細胞増殖能は低下を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症に対する臨床エフォートの増加に伴い、研究への時間が制限されるため
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Strategy for Future Research Activity |
LAT1強制発現肺癌細胞株および発現抑制肺癌細胞株を作成し、ロイシンやグルタミンなどの細胞内アミノ酸濃度を確認、共駆動するalanine-serine-cysteine transporter 2 (ASCT2) 蛋白発現や、下流のシグナル伝達経路の活性化状態について確認する。また、LAT1強制発現ならびに発現抑制細胞株においてマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、mTOR以外の関連シグナルを同定し、治療応用への検討を行う。さらに抗癌剤や、他の分子標的治療薬との併用効果についても確認する。一方、臨床研究として診断時に得られた肺癌組織検体を用いて、LAT1発現と予後、抗がん剤治療効果との関連についても検討をすすめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の診療負担が生じ、研究に遅れが生じたため
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