2019 Fiscal Year Research-status Report
3D オルガノイド法を用いたがんゲノム個別化医療スクリーニングシステムの開発
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19K07757
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高石 官均 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (80286468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 容崇 社会医療法人北斗北斗病院(腫瘍医学研究所), 特任研究員, 特任研究員 (00708878)
西原 広史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50322805)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 癌 / 癌遺伝子検査 / 3Dオルガノイド / 薬剤感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年4月1日から令和2年3月31日の期間において慶應義塾大学病院にて主に悪性腫瘍を対象に手術を行った症例1531例を対象として、網羅的遺伝子解析(160遺伝子パネル検査: Qiagen社、GeneRead Comprehensive Cancer Panel) を行った。網羅的遺伝子解析の結果、TP53、KRAS、PIK3CAなど多くの癌で報告のある遺伝子変異が高頻度に検出されたことに加えて、今のところ意義が明確になっていない遺伝子変異(VUS: Variant of uncertain significance)である、遺伝子X変異、および遺伝子Yの増幅が検出された。遺伝子X変異について、研究分担施設である北斗病院腫瘍医学研究所にはこれまで254種類の網羅的遺伝子変異情報付きの3Dオルガノイド細胞株を樹立し凍結保存している。北斗病院の細胞株ライブラリーに対して対象遺伝子変異を有するか再度検討してみたが該当する細胞株は存在せず、実験期間中に対象遺伝子変異を有する検体を3回得る機会があり3Dオルガノイド細胞株の樹立を試みたがいずれの場合も細胞株樹立は困難であった。 そこで、既存の入手可能な細胞株を取り寄せ遺伝子解析を行ったが遺伝子Xの変異を有する細胞株は含まれなかった。また遺伝子Y増幅は、遺伝子Z増幅を伴うことが多く、遺伝子YとZを合わせて薬剤感受性を測定する必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1500症例を超える件数の網羅的遺伝子検査を行い、薬剤のターゲットとなる変異を検出出来た。遺伝子Xの変異は特に婦人科領域では10%を超える頻度で出現することが分かった。しかし、着目した遺伝子変異を有する3Dオルガノイド細胞株の樹立が困難であり薬剤スクリーニングを行うには至っていない。さらに、既存に細胞株について婦人科領域を中心にして胃癌、大腸癌などを対象にして遺伝子X変異を有するかサンガー法によって遺伝子配列検査を行ったがいずれも対象遺伝子変異を有さなかった。 また、もう一つの標的遺伝子に関しては単独の遺伝子増幅ではなく、遺伝子Z増幅との組み合わせによって分けて薬剤感受性試験を行う必要がある。遺伝子X、遺伝子Y共に増幅している細胞株は樹立が可能であったが、遺伝子X増幅単独の症例が非常に稀であり3Dオルガノイド細胞株の樹立には至っていない。 以上の理由から進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、引き続き網羅的遺伝子解析を進めると共に、遺伝子X変異を有する細胞株の樹立を試みる。同時に、既存の対象遺伝子変異を有さない細胞株を用いて、対象遺伝子を導入して薬剤スクリーニングおよび増殖能や接着能、浸潤能と言った分子生物学的検討を加える予定である。 また、遺伝子YおよびZの増幅についても同様にして、増幅を持つ細胞株の樹立を試みつつ、増幅を持たない細胞株に対して対象遺伝子を導入して、分子標的薬の薬剤感受性の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
端数のため、翌年度と合算して使用する。
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