2020 Fiscal Year Research-status Report
悪性グリオーマ治療の製剤化に向けたHSVtk遺伝子導入細胞株の構築
Project/Area Number |
19K07761
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
池野 正史 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (80298546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 特命研究教授 (60198405)
武内 恒成 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90206946)
小泉 慎一郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10456577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 細胞治療 / HSVtk遺伝子 / hTERT遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(HSVtk)遺伝子とプロドラッグであるガンシクロビル(GCV) の投与による遺伝子細胞治療の確立のために、HSVtk遺伝子を安定に発現する組織幹細胞の作製を目標とした。複数種の幹細胞に、HSVtk遺伝子とhTERT遺伝子とを同時に導入することにより、バイスタンダー効果を保有する幹細胞を効率よく単クローン化する技術を開発し、治療細胞を安定供給する。 本年度は、HSVtk遺伝子とhTERT遺伝子とを幹細胞ゲノムに再現的に挿入する方法を確立するために、当初計画した大きな遺伝子発現コンストラクトを廃止し、HSVtk遺伝子とhTERT遺伝子とを独立したコンストラクトに分割した。また、抗腫瘍効果に必要なスペックを満たすために、HSVtk遺伝子の発現プロモーターを変更した。細胞樹立過程で新たな課題となったHSVtk遺伝子産物の細胞毒性に対応するために、正常型に加えて変異型HSVtk遺伝子を適用した。 修正したコンストラクトをPiggyBacシステムにより幹細胞に導入することにより、正常型または変異型HSVtk遺伝子とhTERT遺伝子とを保有する幹細胞クローンを再現的に得た。正常型と変異型HSVtk遺伝子とを比較した性能評価の結果、変異型HSVtk遺伝子を適用することにより導入細胞内でのHSVtkの発現量が向上し、変異型HSVtk遺伝子とhTERT遺伝子とを発現する細胞株は、ウイルスによる導入細胞と同程度のin vitroでの抗腫瘍効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の課題を解決するために、コンストラクトの分割や発現プロモーターの変更などコンストラクトの修正、およびHSVtk遺伝子の改変により、治療効果に必要な発現量を満たすHSVtk導入細胞株を再現的に樹立する方法を確立した。 in vitroでの性能評価の結果、樹立したHSVtk導入細胞株は抗腫瘍効果を示したが、樹立後の細胞増殖速度が遅いことが課題となった。細胞の増殖能の低下は、vivoでの抗腫瘍効果や安定供給の障害となる可能性があり、HSVtk遺伝子のさらなる改変、発現量の調整を含めて対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
hTERT遺伝子を共導入したにもかかわらず、樹立後の細胞の増殖速度が遅い原因は、HSVtk遺伝子の恒常的発現による細胞毒性と関連している可能性が高い。HSVtk遺伝子は、治療の根幹となる抗腫瘍効果に必須であるとともに、細胞毒性を付与する可能性があることから、発現量の調節が重要な課題と考えられる。 治療細胞の性質向上と合わせて、現状のHSVtk遺伝子発現細胞をマウス個体に移植し、組織内での細胞の遊走能とバイスタンダー効果を評価するとともに、死滅した細胞による炎症など周囲の影響を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会参加などの旅費を使用しなかったために次年度使用額が発生した。研究遂行のための消耗品費に当てる。
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Research Products
(4 results)