2020 Fiscal Year Research-status Report
Progressive research on genetic testing for hereditary gastrointestinal tumors and fundamental research on next-generation medical genetics
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19K07763
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
田村 和朗 近畿大学, 理工学部, 客員教授 (20278823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 尚裕 兵庫医科大学, 医学部, 名誉教授 (00252643)
川下 理日人 近畿大学, 理工学部, 講師 (00423111)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家族性腺腫性ポリポーシス / リンチ症候群 / リー・フラウメニ症候群 / がんゲノム医療 / 二次的所見 / バイオインフォマティクス / 遺伝学的検査 / サーベイランス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度より開始したがんゲノム医療の進展とともに、二次的所見(germline findings, presumed germline pathogenic variant:PGPV)として、遺伝性腫瘍の検出率が高まっている。がんゲノム医療に加え、遺伝性腫瘍に対する適切な対応はがん対策において重要な要点である。家族集積性、若年性、多発性/多重性など、臨床および遺伝疫学的に特徴的な情報を基に医療介入を行うのみならず、コンパニオン診断やがん遺伝子プロファイリング検査の結果から遺伝性腫瘍の診断に至る例が増加したことから、遺伝学的検査の精度の向上とバリアント解釈やゲノム情報から疾患理解をいかに深化させるかは極めて重要となる。マルチ遺伝子パネル検査、サンガー法と、新たに開発したcopy number variation(CNV) 解析法(Nested PCR based quantitative CNV analysis(NPQ-CNV), 特願2016-235223, 特願2017-232450)を併用して適切な診断がなされる方法を探索してきた。検出されたバリアントに対しては遺伝子産物の高次構造の予測などバイオインフォマティクス解析を行い、新たな観点から病的意義づけを行ってきた。 対象となる疾患として、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、MUTYH関連ポリポーシス(MAP)、ポリメラーゼ校正関連ポリポーシス(PPAP)、若年性ポリポーシス(JPS)、PTEN過誤腫症候群(カウデン病)、ポイツ・ジェガーズ症候群(PJS)、リンチ症候群(LS)、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)、リー・フラウメニ症候群(LFS)等を対象に遺伝学的検査と血縁者の発症前診断を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床および遺伝疫学的特徴を基にしたクライテリアなどを参考に遺伝性腫瘍の疑われた症例に遺伝学的検査を行ってきた。しかし、2018年にがんゲノム医療としてがん遺伝子プロファイリング検査が保険収載され、さらに遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)に対する治療薬(PARPi)の開発でコンパニオン診断を行う関係で原因遺伝子のBRCA1/BRCA2の遺伝子異常の診断に至る例が増加してきた。また、マイクロサテライト不安定性を有する固形癌に免疫チェックポイント阻害剤(ICPi)が適応になり、ミスマッチ修復遺伝子産物の機能不全をきたすリンチ症候群(LS)やconstitutional mismatch repair deficiency(CMMRD)の診断例が増加してきた。 検出されたバリアントに対しては従来のin silico解析に加え、フラグメント分子軌道法 (FMO法)、高次構造解析等を用いて、正確な意義付けが可能と考えている。 これらは、国内外の学術集会で報告するとともに、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、リンチ症候群(LS)、リー・フラウメニ症候群(LFS)、ファンコニ貧血に関して誌上発表(英文誌)するとともに、大腸がんにおけるマイクロサテライト不安定性に関してEMAST大腸がんについてもまとめて誌上発表(和文誌)を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝性消化管腫瘍症候群を対象とする研究であるが、遺伝性腫瘍は多面性疾患で遺伝性腫瘍の多くは消化管の腫瘍を関連がんとして認めることが多い。また稀な疾患として認識されがちではあるが、腫瘍の5~10パーセントを占めることもよく知られている。わが国の悪性腫瘍罹患者数から換算すると、遺伝性腫瘍の総数は相当数であり、当事者およびその血縁者への対応は生涯にわたるサーベイアンスと例えがんの発症を見たとしても早期診断・早期治療を徹底し、がん対策を適切に行う必要がある。その際、遺伝学的検査の精度向上はもとより検出結果の適切な評価が望まれる。解析の向上のためには生殖細胞系列と腫瘍組織のDNA、RNA両面からの解析が必要と考えている。また、バイオインフォマティクスの向上が重要で、フラグメント分子軌道法 (FMO法)、高次構造解析のさらなる改良が望まれる。 さらに臨床および遺伝情報とゲノム情報を統合し、当事者および家系員の健康管理ツールの開発も必要と考えている。そのために、①有用な臨床還元可能なゲノム情報の抽出、②化学療法の薬剤選定の支援:遺伝学的検査結果によるコンパニオン診断、③遺伝カウンセリングとがん対策:多職種によるがんゲノム医療による「精密予防(precision prevention)」、「精密医療(precision medicine)」、「精密ケア(precision care)」の実践行い、次世代のモデル化を図っていく必要がある。
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Causes of Carryover |
(1)COVID-19感染拡大のため、国内外の学術集会はオンライン開催となり、また共同研究者との会議もオンラインを介して行ったため、旅費としての予算執行は皆無であった。(2)人件費・謝金はデータ整理などはオンラインを使用して研究者間でスムーズに行われたため、使用する機会が減少した。 (3)2021年度は本研究の最終年度であり、研究の総仕上げを行うため、計画的に執行予定である。
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[Journal Article] Long-term clinical outcomes and follow-up status in Japanese patients with familial adenomatous polyposis after radical surgery: a descriptive, retrospective cohort study from a single institute.2020
Author(s)
Babaya A, Yamano T, Matsubara T, Takenaka Y, Song J, Kimura K, Yasuhara M, Kataoka K, Beppu N, Uchino M, Ikeda M, Ikeuchi H, Matsubara N, Tamura K, Tomita N.
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Journal Title
Int J Colorectal Dis.
Volume: 35(4)
Pages: 675-684
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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