2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07768
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
田原 舞乃 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 主任研究官 (10572109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / ウイルスベクター / 麻疹ウイルス / 狂犬病ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
再生医療、癌治療、そして遺伝子治療などの分野においてウイルスベクターは、不可欠な役割を果たしている。ただし、レトロウイルスは宿主ゲノムに導入遺伝子が組み込まれるため、重大な副作用のリスクがある。一過的な遺伝子発現を目的としたアデノウイルスやアデノ随伴ウイルスでも、体内の様々な組織にウイルスが残存する危険性が指摘されている。センダイウイルスでは、ゲノムへの損傷や長期的なウイルスベクターの残存リスクは低いが、遺伝子導入が行われた細胞への損傷のリスク無く、ウイルスベクターを速やか且つ効果的に消去する手法は開発されていない。ウイルスベクターに期待されつつも困難とされてきた技術の一つが、遺伝子発現や増殖を意のままに操ることである。この技術があれば、不要になったウイルスベクターを簡単に取り除くことができる。また必要な場所、必要な時にだけ遺伝子発現させることができ、利便性や安全性が飛躍的に向上する。 そこで、増殖の制御を可能とするウイルスベクターの開発を目指した。マグネットという光スイッチタンパク質を使って、光制御性の麻疹ウイルスと狂犬病ウイルスの作製に成功した。また動物を用いた実験で、本ベクターを接種して青色光の照射を受けた癌が、著しく縮小することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光制御性麻疹ウイルス を用いて腫瘍溶解ベクターとしての利用についてマウスin vivoにおいて明確に腫瘍溶解性を示すことができた。光制御性狂犬病ウイルスを作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
他のウイルスでの光制御性ベクターを構築する。また、Magnetタンパク質に変異を導入することでスイッチオン、オフ効率の異なるウイルス ベクターを作製する。希望する光条件下で既に作製したウイルスを培養することで、その環境に適した変異体を得る。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和3年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定である。未使用額分は翌年度分と合わせて細胞培養実験、遺伝子組換え実験等に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Enhanced isolation of SARS-CoV-2 by TMPRSS2-expressing cells.2020
Author(s)
1.Matsuyama S, Nao N, Shirato K, Kawase M, Saito S, Takayama I, Nagata N, Sekizuka T, Katoh H, Kato F, Sakata M, Tahara M, Kutsuna S, Ohmagari N, Kuroda M, Suzuki T, Kageyama T, Takeda M.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A.
Volume: 117
Pages: 7001-7003
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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