2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of metabolic mechanisms focusing on genomic abnormalities and epigenomic changes related to tumor-bearing state and drug resistance
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19K07769
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
藤井 誠志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (30314743)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、代謝制御によるがん細胞機能不全メカニズムの解明を目指し、担がん患者と非担がん患者の間で差異がある代謝物や、同一患者におけるがん組織と非がん組織との間で差異がある代謝物の同定を試みた。 食道がん患者と非担がん患者の血漿を用いたメタボローム解析を行なったところ、がん患者で有意に多い代謝物を多数同定した。がんで変化していることが想定されている代謝経路に関係する代謝物が多数同定された。この結果は、がんが生存し、増殖し続けるための生物学態度に関係する代謝物であることを意味しており、バイオマーカーになり得ることが期待される。機能的な意義について解析を行なっているところである。大腸がん患者の血漿については更に症例数を追加して検討した。大腸がん患者と非担がん患者の間で有意差がある代謝物の中で、大腸がんの遺伝子異常の違いにより差異が認められなかった代謝物も存在した。そのような代謝物と差異が認められた代謝物との特徴と、がん細胞におけるそれらの代謝物の役割を明らかにする必要がある。 今回検討対象にした食道がん患者との比較するために、扁平上皮癌が発生するがんの組織型の90%以上を占める頭頸部がん症例についても検討を開始した。頭頸部がんについては、外科切除された標本から、がん組織と非がん組織を採取してメタボローム解析を行う。現在まで、中咽頭がん25例、下咽頭がん49例、喉頭がん23例、口腔がん40例についてのメタボローム解析が進んでいる。食道がん症例では、血漿を用いているが、同じ扁平上皮癌という組織型でも、血漿中に見出される代謝物と組織中に見出される代謝物との差異がある可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸がん、食道がんの血漿についてのメタボローム解析は終了し、現在は担がん患者と非担がん患者の間で有意差が認められた代謝物の機能的意義を検討しているところである。頭頸部がんの試料のついては、組織重量が不足していた症例が存在した。追加で提出できる組織が保管されていたため、追加試料を用いたメタボローム解析を行う。その解析結果をデータベースに加えて、統計解析を行い、非がん組織とがん組織の間で有意差がある代謝物の同定を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボローム解析に資する試料として、組織重量が不足した試料が存在したことは想定していなかったが、同一患者、同一標本の組織を追加で提出できることが、試料の保管状況を確認して判明した。概ね研究は順調に進んでおり、継続して研究を行う。
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Causes of Carryover |
メタボローム解析を行おうとした頭頸部がん組織、頭頸部非がん組織の試料のうち、メタボローム解析に必要な組織重量が不足する症例が存在した。そのため、同一患者の同一標本で保管されている試料を追加で提出する必要がある。その解析が必要であり、次年度使用が生じた。頭頸部がん組織の解析に使用する予定である。
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