2020 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍血管の分子標的・シアル化HEG1の分子性状解析
Project/Area Number |
19K07770
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Research Institution | Kanagawa Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
辻 祥太郎 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 主任研究員 (30285192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中皮腫 / 血管内皮細胞 / HEG1 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管内皮細胞におけるHEG1の動態を明らかにするために、SKM9-2と糖鎖非依存的な抗HEG1抗体(V8F11)を用いてHEG1の発現動態の解析を行った。HUVECを血清存在下、または無血清培養下で培養し、成長因子/サイトカイン(VEGF、TGF-β、bFGF、EGF、PDGF、TNF-α、IL-4)刺激を行ったが、フローサイトメーター解析ではHEG1発現量の増減は観察できず、二つの抗体の反応性も違いは生じなかった。また、培養シャーレの接着基質(コラーゲンIコート、コラーゲンIVコート)や、細胞密度の検討も行ったが、大きな差異は認められなかった。
次に、HEG1の糖鎖修飾酵素について知見を得るため、HUVECと中皮腫細胞株におけるO型糖転移酵素GALNTの網羅的発現解析を、定量PCRを用いて行った。しかし、SKM9-2の反応性と明確な相関のあるGALNT遺伝子は見いだされなかった。また中皮腫で高発現しているGALNTのうち、GALNT2, GALNT7, GALNT11の発現をesiRNAで抑制するとSKM9-2の反応性は減弱したが、HUVECのGALNT2, GALNT7, GALNT11の発現とSKM9-2の反応性に相関は見られず、SKM9-2反応性の責任酵素の特定は出来なかった。
免疫共沈法、および近位依存性ビオチン標識によりHEG1と会合する分子の解析を行った。免疫共沈法によりHEG1と細胞骨格タンパク質が会合している事が示唆され、近位依存性ビオチン標識によっても細胞骨格関連分子が同定された。従って、HEG1は細胞形態の形成に関与する分子であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未だ明らかとなっていないHEG1の生理機能に関する知見が得られ、おおむね順調に進展している。一方で血管内皮細胞上のHEG1の糖鎖構成や糖鎖修飾メカニズムは、当初予想していたものよりも特異性が低いものであり、HEG1の生理機能の側面からも発現調節機構について検討を加える必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮細胞のHEG1の糖鎖構成や糖鎖修飾メカニズムは、当初予想していたものよりも特異性が低いものであった。そのため、腫瘍血管でHEG1の細胞膜上への発現が増加するメカニズムについては、本年度に同定されたHEG1と細胞内で会合している分子との共発現といった側面から解析を進める。
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Causes of Carryover |
物品の使用量が予想よりもやや少なくてすみ、また、予定していた学会参加を中止した為。主に次年度の物品購入費として使用を予定している。
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[Journal Article] HEG1, BAP1, and MTAP are useful in cytologic diagnosis of malignant mesothelioma with effusion.2021
Author(s)
Hiroshima K, Wu D, Hamakawa S, Tsuruoka S, Ozaki D, Orikasa H, Hasegawa M, Koh E, Sekine Y, Yonemori Y, Nabeshima K, Tsuji S, Miyagi Y, Imai K.
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Journal Title
Diagn Cytopathol
Volume: 49
Pages: 622-632
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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