2021 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍血管の分子標的・シアル化HEG1の分子性状解析
Project/Area Number |
19K07770
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Research Institution | Gunma University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
辻 祥太郎 群馬医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30285192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中皮腫 / 血管内皮細胞 / HEG1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に同定したHEG1の会合分子とSKM9-2陽性HEG1の発現量の相関性について、中皮腫細胞株(ACC-MESO1、ACC-MESO4、NCI-H226、NCI-H2452)およびヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いてwestern blottingにより比較を試みたが、両者の分子の発現量に相関は認められなかった。また、HEG1の分子量にも明白な差は認められず、血管内皮細胞のHEG1を精製して、糖鎖組成解析から差異を見いだすことは困難であると考えられ、糖鎖解析を断念した。
従って、これまでの解析結果を考えあわせると、1) 腫瘍血管に特異的な糖鎖修飾の出現、2) 部位特異的な糖鎖転移酵素による腫瘍血管特異的な糖鎖付加、3) SKM9-2陽性HEG1を発現させるための共発現分子の発現量の差異、いずれも腫瘍血管内皮細胞がSKM9-2陽性となる原因ではないと結論づけた。
腫瘍血管内皮細胞で特異的にSKM9-2エピトープが出現する可能性としては、健常組織に発現するHEG1ではエピトープ領域にSKM9-2の結合を阻害する糖鎖修飾がされており、がん化などに伴いその糖鎖修飾が減少し、結果的にSKM9-2反応性のエピトープが形成されることが考えられる。この仮説の検証のためには糖鎖のないSKM9-2エピトープに特異的に反応する抗体が必要となるが、合成エピトープペプチドを抗原として免疫して得られたポリクローナル抗体を抗原で特異的に精製したペプチド抗体は非特異的結合が多いため解析が不可能であった。そのため、現在、合成エピトープペプチドに対するモノクローナル抗体の作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
腫瘍血管でSKM9-2陽性のHEG1の発現が増加するメカニズムは当初予想していたよりも複雑で、既存の知見に基づいたアプローチでは解析が困難であることが判明した。解析には新たな抗HEG1モノクローナル抗体が必要となるため、現在作製を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍血管でSKM9-2陽性のHEG1の発現が増加するメカニズムは当初予想していたよりも複雑で、既存の知見に基づいたアプローチでは解析が困難であることが判明した。解析には新たな抗HEG1モノクローナル抗体が必要となるため、現在作製を進めている。得られた抗体を用いて細胞株におけるHEG1の発現解析を行った後、免疫組織染色にて腫瘍血管での反応性について解析を進める。
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Causes of Carryover |
所属機関の異動と研究室の移設に伴い研究を推進することができない期間が生じ、また、予定していた学会参加を中止したため。主に次年度の物品購入費として使用を予定している。
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