2019 Fiscal Year Research-status Report
発がんシグナル誘導性複製ストレスへの応答機構を標的とする治療開発
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19K07772
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山下 孝之 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10166671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関本 隆志 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (20436322)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん遺伝子 / 複製ストレス / グアニン四重鎖構造 / グアニン四重鎖構造安定化剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん遺伝子誘導性複製ストレスはDNA損傷を介してゲノム不安定性を促進する。その一方、がん遺伝子誘導性複製ストレスは細胞の老化・死を引き起こす作用を有する。したがって、その仕組みの解明は発がん過程の理解を促進するだけでなく、それを増強することによってがん細胞特異的な毒性を発生させる方法を開発することによって治療の開発にも貢献できる。ゲノムには、一本鎖DNAがグアニン四重鎖構造と呼ばれる二次構造を形成しうるモチーフが37万以上あると推定される。グアニン四重鎖構造はDNA複製に対する障壁となるが、がん遺伝子誘導性複製ストレスにおける役割は十分明らかではない。本研究では、がん遺伝子誘導性RS発生におけるグアニン四重鎖構造の役割を解明することを目的として、複数のヒト細胞株、具体的には骨肉腫細胞株と不死化線維芽細胞株にがん遺伝子Mycとエストロゲン受容体ERの融合遺伝子を安定的に発現するクローンを作成した。これらの細胞株を4OHTによって処理するとがん遺伝子Mycが活性化され、DNA損傷を伴う細胞周期の停止や細胞死の誘導が観察された。グアニン四重鎖構造を特異的に認識するモノクローナル抗体を用いて免疫染色したところ、いずれの細胞においてもMyc活性化によってグアニン四重鎖構造の増加が見られた。また、Myc活性化後にグアニン四重鎖構造安定化化合物ピリドスタチンを作用させたところ、DNA損傷と細胞毒性を相乗的に促進した。これらの結果は、Myc誘導性の複製ストレスにグアニン四重鎖構造の増加が関与することを示唆する。また、Mycを活性化するがんに対してグアニン四重鎖構造安定化化合物が有効な治療薬となる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グアニン四重鎖構造の免疫染色の条件設定に時間を取られ、Myc活性化によってそれが増加する仕組みについての解析、特にDNA複製・転写や細胞周期との関連性についての解明が予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Myc活性化によってグアニン四重鎖構造が増加する仕組みと、DNA二重鎖が切断される機構、この作用をがん治療に利用する可能性について検討を行う。
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Causes of Carryover |
端数として残った金額である。次年度の研究費と合わせて有効に使用する。
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Research Products
(3 results)