2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of a mucosal long peptide cancer vaccine using a membrane transport polymer as a carrier.
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19K07773
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 信至 摂南大学, 薬学部, 教授 (80388644)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ワクチン / 腫瘍免疫 / 高分子ポリマー / 膜輸送性タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の実用化以降、癌免疫療法の普及が急速に進んでいるが、ICIの奏効率は3割程度にとどまり、人工的に細胞障害性T細胞(CTL)を誘導でき、ICIとも併用できる新規癌ワクチンの開発が期待されている。これまでの癌ワクチンは8~10アミノ酸のCTLエピトープを用いたショートペプチドが数多く開発されてきたが結果は満足なものではなく、複数のCTLエピトープを含むロングペプチドワクチンの開発が進んでいる。ロングペプチドは30以上のアミノ酸からなり分子量も3000を超えることから、ロングペプチドを如何に樹状細胞(DC)内にデリバリーするかが成功のカギとなっている。今回、我々は膜透過性オリゴアルギニンを結合させた膜輸送性高分子を合成し、ロングペプチドと混合して生体粘膜上に投与し、ロングペプチドを高効率にDC内に送り込むことができる、粘膜投与型ロングペプチド癌ワクチンの開発を計画した。本ワクチンは鼻粘膜投与で汎用性が高く、ICIとの併用も容易で、患者毎の腫瘍細胞の遺伝子変異に基づく個別化ネオアンチゲンワクチンにも対応可能な、高分子化学と医学の融合による次世代型癌ワクチンである。令和1年度は、マウス樹状細胞株である、DC2.1細胞を用いて、本膜輸送性高分子が高効率に高分子タンパクを樹状細胞内に導入できることを確認した。一方、マウス大腸がん細胞株、MC-38細胞のネオアンチゲンロングペプチドを合成し、膜輸送性高分子と混合して、MC-38腫瘍担癌マウスに鼻粘膜投与したが、抗腫瘍効果を確認できなかった。そこで腫瘍細胞融解物または、ネオアンチゲンロングペプチドを本膜輸送性高分子で樹状細胞に導入する、樹状細胞ワクチンの開発に着手した。現在までに、EL4マウス白血病細胞を用いた実験で、腫瘍細胞融解物を導入した樹状細胞ワクチンの抗腫瘍効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた鼻粘膜ワクチンの有効性は確認できていないが、樹状細胞ワクチンでの有効性を確認しており、新たな癌ワクチンの開発が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、腫瘍細胞融解物やネオアンチゲンロングペプチドを抗原タンパクとして膜輸送性高分子で樹状細胞に導入した樹状細胞ワクチンの実用化に向けて、開発研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
今回、鼻粘膜ワクチンから樹状細胞ワクチンの変更で、本年度ロングペプチドの合成を1回しか実施せずに、2回目以降を次年度に実施予定のため。
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