2021 Fiscal Year Annual Research Report
難治性悪性リンパ腫の分子病態の解明と新規治療法の探索
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19K07774
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
遠西 大輔 岡山大学, 大学病院, 研究教授 (20825096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 嘉信 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60403474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究協力施設から、RCHOP療法を実施した初発DLBCLから生検材料・1,388検体を収集し、そのうち核酸が抽出できた1,274症例で解析コホートを構築した。まず、このコホート(Okayama Hematology Study Group; OHSGコホート)の臨床学的特性を確認したところ、生存期間は既報の北米(BCCA)でのRCHOPを施行したDLBCLとほぼ同様であり(5年全生存率(OS);68% vs 68%)、また臨床的バイオマーカーであるIPIが有意に予後と相関した(P<0.0001)。このことから、一般的なDLBCLの臨床学的特性を備えているコホートであると判断し、各種マルチオミクス解析を進めた。核酸抽出の結果、高品質のRNAが1,274症例で得られ、「DLBCL90」を用いたトランスクリプトーム解析を実施した。その結果、ABC-DLBCL, GCB-DLBCL, PMBCL-like, Unclassがそれぞれ、45%、37%、5%、13%であった。これまでの欧米人における報告では、ABC-DLBCLとGCB-DLBCLの比率が約30%、60%とGCB-DLBCLの比率が多い事が知られていたが、本研究によってABC-DLBCLの比率が高い事が示され、アジア人におけるDLBCLの分子学的特徴が初めて明らかとなった。一方、GCB-DLBCLは、DHIT-like(30%)とnon-DHIT-like(70%)に更に分類され、DHIT-like群は極めて予後不良であったことから、早期の治療開発が必要となる患者群である(5y-PFS,44% vs 76%; P<0.001)。さらに、予後不良であったABC-DLBCLとDHIT-like DLBCLについて50遺伝子パネルに基づくターゲット・シークエンスを実施し、それぞれのマルチオミクス解析を実施した。その結果、ABC-DLBCL内に予後不良であるMCDグループと予後良好であるBN2グループが存在することが明らかとなり (5y-PFS 42% vs 63% p=0.03)、DLBCL90+50遺伝子パネルに基づくマルチオミクス・マーカーは、従来のCOO分類に比較し、より正確にDLBCL患者の予後層別が可能である事が示唆される。
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