2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a novel biomarker predicting response to HER2 inhibitor
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19K07778
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
長尾 則男 県立広島大学, 生物資源科学部, 准教授 (40227989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 博志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90713975) [Withdrawn]
笹井 香織 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50722162) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | HER2陽性乳癌 / eEF1A2 / 予測バイオマーカー / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではHER2陽性乳癌の奏効性を予測するコンパニオン診断薬としての翻訳因子eEF1A2の発現解析の有効性について、HER2陽性と陰性の乳癌症例におけるIHC解析とHER2陽性乳癌の悪性化シグナル経路におけるeEF1A2の機能的役割解明の双方の側面から調べた。IHC解析からHER2陰性乳癌症例と異なりHER2陽性乳癌症例ではeEF1A2の発現が腫瘍ステージ進行とともに低下し、eEF1A2高発現症例ほど予後が良いことを明らかにした。HER2陽性乳癌の癌シグナル経路解析から既報の研究結果とは異なり、eEF1A2がPTENとタンパク質複合体を形成することで癌抑制タンパク質として機能することを発見した。特にこの複合体がユビキチンプロテアソーム経路に直接関与していることを明らかにし、その基質としていくつかの発がん性タンパク質を同定した。同定した基質タンパク質の発現が増加している PTEN 欠損乳癌細胞の異種移植モデルマウスを基質タンパク質の低分子阻害剤とPI3K低分子阻害剤の併用処理した結果、単独投与と比較して腫瘍の成長を著しく抑制した。他方、eEF1A2を過剰発現するHER2陽性乳癌細胞株では、Bcl-2ファミリータンパク質のリン酸化レベルが低下し、cleavedカスパーゼ3の発現が増加することを見出した。以上の結果は、eEF1A2がHER2陽性乳癌細胞においてアポトーシス活性を高める役割を持つ優れた予測バイオマーカーであることを示唆する。今後、さらに解析を進めることで、eEF1A2遺伝子発現解析がHER2阻害剤治療の予後を予測する有用なバイオマーカーとして確立を目指したい。
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