2021 Fiscal Year Annual Research Report
non-canonical抗原提示経路を介して抗腫瘍効果を発揮するRNAワクチン
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19K07782
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 正紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80297366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小井戸 薫雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70266617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工抗原 / RNAワクチン / mRNA / WT1 / 細胞性免疫 / 腫瘍免疫 / ネオエピトープ / がんワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
canonical抗原提示経路(ER-Golgi依存性経路)を経ずに、ネオエピトープに対する腫瘍免疫を強力に誘導するRNAワクチンの開発を進めた。人工タンパク質抗原(人工抗原)はnon-canonical抗原提示経路(ER-Golgi非依存性経路)を経て細胞性免疫を強力に誘導する。(Ito M., et al. PloS One. 9(10):e110425, 2014、米国特許 US 10,898,555 B2 CELLULAR IMMUNITY INDUCING VACCINE, Jan. 26, 2021)この人工抗原の構造をもとに、がん抗原Wilms Tumor 1(WT1)のネオエピトープを用いてワクチンDNA plasmidを作成、細胞に遺伝子導入、in vitroで人工抗原の発現を調べた。人工抗原は天然タンパク質に較べ細胞内での発現が弱い事がわかった、そこでシグナル配列を付加した結果、安定な発現がみられた。人工抗原mRNAをin vitro transcriptionで合成、樹状細胞に遺伝子導入し、人工抗原由来WT1ネオエピトープが細胞表面MHC class I分子に抗原提示される事をWT1特異的TCR発現レポーターT細胞を用いて確認した。ヒト末梢血単核球を用いた実験でWT1特異的細胞傷害性T細胞の誘導が見られ、ワクチンの有効性が認められた。COVID-19 mRNAワクチンによりRNAワクチンの重要性が再認識され、現在もRNAの安定性、形質転換効率、翻訳効率、抗原提示経路の制御などの改良が進行中である。抗原提示経路は未だ不明な点が多く、抗原提示経路を制御する観点からワクチンの開発を目指す本研究で得られた人工抗原RNAワクチンは腫瘍免疫の本体である細胞性免疫誘導能を大きく増強する事が期待される。今後in vivo抗腫瘍効果の検証を行う予定である。
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