2019 Fiscal Year Research-status Report
キメラ抗原受容体に最適化されたがん細胞表面特異的エピトープに対するScFvの開発
Project/Area Number |
19K07784
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
黒澤 仁 藤田医科大学, その他部局等, 講師 (10410739)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 一本鎖抗体 (scFv) / キメラ抗原受容体 / 癌特異的抗原 / 膜タンパク / エピトープ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はがん細胞膜上タンパクの“特異的エピトープ”に対する抗体を取得し、これによりえられる一本鎖抗体(single chain Fv:scFv)からキメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)に最適化したScFv-CARの開発を行うものである。 この目標を達成するために、本研究の目的に合致する網羅的抗体セットの取得・選択と完備、本目的を達成する評価系の完備と網羅的データセットの取得、アンメットメディカルニーズにかない、かつ有効な治療が望める対象がん種の決定、がん特異性が高く、対象疾患に対して広く一般性がある、もしくはがんの不均一性に対応出来るScFvの提示を大目標にしている。そしてこれら目標達成を通じて有望なScFv-CAR分子提示のみならず、現在存在するがん創薬分野の必要要件である、広く一般性をもった薬効とがん全体にまたがる不均一性という問題のパラドックスの解決にもつながる知見を与えるとともに、細胞膜上ターゲットタンパクを利用した様々な新規がん分子標的化マーカー治療法やがん免疫治療法開発にブレイクスルーを与える事を目指すものである。計画では本年度は本目標達成の為の研究計画に従い、ScFv評価を行えうる技術を保持する協力研究者を募り内外チームビルド、特許調査、文献調査を通じた対象疾患候補と対象抗原候補の選定を進めた。また協力研究者のサポートを受けてがん特異的ScFvーCD28-CD3キメラ受容体(CAR)のテスト的作成を発現を行い、その効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H31(R1)年度の研究計画達成目標は各ScFv評価を可能とする体制確立とその評価系のプレリミナリーなデータ取得であった。具体的には、ScFvを評価可能とする協力研究者との提携とそれに基づくチームビルド、対象抗原候補の選定、がん特異的ScFvーCD28-CD3キメラ受容体(CAR)のテスト的作成を発現を行い、その効果を確認することにあった。そしてこれらの目標は概ね達成された。とりわけScFv(VHVL)ーTM-CD28-CD3のキメラ抗原発現が293-T細胞株、Jurkat細胞のいずれでも発現が確認され、本研究課題が提示するScFvの評価がキメラ抗原受容体として評価可能であることが示された。これらに加え、がん特異性評価の部分でも組織染色によって抗原レベルではなく、エピトープレベルでの特異性評価が可能である事とその結果がん特異的エピトープを認識するScFvの提示という本研究テーマの重要課題の克服の目途が立ったことにより、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も各種調査を随時行いながら、必要に応じて進捗確認と計画修正を行う。また、こちらも必要に応じて各種がん特異的抗原の入手を行いながら、免疫染色方、ELISA法を用いて、各種ScFv抗体の評価を進めて最終的に有望な候補ScFvの提示を目指す。更には候補対象疾患と特異的エピトープを認識するScFvセットを提示する。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通りの執行状況であり、執行率は99.74%である。次年度使用額3,367円に関しては端数の残高である。
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