2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07799
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
城山 優治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90456195)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GRP / 扁桃体 / 光操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活において、適度な心理的ストレスは覚醒レベルを高め、問題や障害の克服に向けた原動力となる。しかし、ストレス耐性が低いと、同じストレスレベルであっても過度な情動反応を引き起こす。そして、それは適応障害等を例に見るとおり生活する上でむしろマイナスに作用することが多い。このような、ストレス下で恐怖・不安等の情動機能を制御して心を平穏に保つための脳神経回路に関しては不明な点が多い。 本研究は、研究代表者が2015年に採択された科学研究費補助金(研究課題番号:15K01848)を基に進めた成果を基にしている。GRP(gastrin releasing peptide)遺伝子の欠損マウスは、通常状態であれば大きな行動的異常は無いが、拘束ストレスを負荷された直後においては恐怖学習が増大する。また、その様なストレス下において、扁桃体外側核の近傍に位置する小さなて領域が、GRP遺伝子依存的に活動することを見出されている。つまりGRPはストレス下においてこの脳領域を刺激することにより過度な情動表出を抑制すると仮説が立てられる。 本研究はこの仮説の検証を目的とし、光遺伝学的手法を用いた神経活動の制御を行う。しかし、本研究において対象とする脳領域は非常に小さいため、一般的な遺伝子導入法(AAVベクター使用)と、光操作法(光ファイバー使用)において局所的な制御を行うことは困難である。そのため、隣接する扁桃体外側核、また本研究では解析対象外である抑制性ニューロンを除外した光操作を試みる必要がある。そのため、扁桃体外側核および抑制性ニューロン特異的にCre発現マウスをそれぞれ交配させ、光操作に用いるオプシン遺伝子にloxP配列を組み込んだAAVベクターを用いる。 2019年度は、扁桃体外側核特異的Cre発現マウス、抑制性ニューロン特異的Cre発現マウスを入手し、交配を行うまでで終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
扁桃体外側核特異的Cre発現マウスはRIKEN バイオリサーチセンターより、抑制性ニューロン特異的にCre発現マウスはJackson Laboratoryより入手した。その手続きおよび交配ににおよそ半年を要した。また研究代表者が鹿児島大学医歯学総合研究科にに異動した直後であり教育業務に不慣れな点により、研究遂行がやや遅れている。 2種類のCre発現マウスのマウスの入手と交配が完了したため、今後本実験を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
交配された2種類のCre発現マウスに対し、loxPで挟まれたオプシン遺伝子をマウスの扁桃体外側核付近に導入する。遺伝子導入にはアデノウィルスベクターを用いる。オプシン遺伝子は扁桃体外側核や中心核を含む比較的広い範囲に導入される。しかし、扁桃体外側核特異的Creにより外側核のオプシンは欠失するし、抑制性ニューロン特異的Creの作用により、扁桃体中心核の大部分を含む抑制性ニューロンのオプシンも欠失する。結果的に、目的とする脳領域の興奮性ニューロン特異的にオプシン遺伝子が残存するため、この領域特異的な神経活動操作が可能となる。 このマウスに拘束ストレスを負荷し、その20分後に目的とする脳領域の抑制を行いながら恐怖学習を行う。仮説通りであれば、この脳領域の神経活動抑制により過度な恐怖学習を示すと予想される。 メンタルヘルスの重要性が再認識されている昨今、ストレスとその耐性に重要な役割を果たす新規の脳領域が発見された際は、そこから応用研究が一気に広がる可能性を秘めている。
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Causes of Carryover |
当該研究に用いるマウスの入手と交配が予定より遅れたため、マウス維持として予定していた金額を次年度使用額とすることにした。 マウスの飼育にかかる費用として翌年度請求分と合わせて使用する予定である。
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[Journal Article] Glial pathology in a novel spontaneous mutant mouse of the Eif2b5 gene: a vanishing white matter disease model.2019
Author(s)
Terumitsu-Tsujita M, Kitaura H, Miura I, Kiyama Y, Goto F, Muraki Y, Ominato S, Hara N, Simankova A, Bizen N, Kashiwagi K, Ito T, Toyoshima Y, Kakita A, Manabe T, Wakana S, Takebayashi H, Igarashi H
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Journal Title
Journal of Neurochemistry
Volume: jnc.14887
Pages: 1-16
DOI
Peer Reviewed
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