2019 Fiscal Year Research-status Report
小脳皮質細胞による歩行速度ミスマッチの符号化様式の解明
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19K07801
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
池添 貢司 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (10596430)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小脳 / 歩行運動 / プルキンエ細胞 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は意図した速度で歩行するための適応制御の神経基盤を明らかにすることを目的とする。意図した速度で移動するために脳は移動速度と筋への運動指令との既知の関係に基づいて運動指令を生成する。しかし、筋力や負荷のような内的・外的環境は時々刻々と変化するため、脳は環境の変化に合わせて運動指令を変化させる必要がある。この適応制御には運動指令から予測される歩行速度と実際の歩行速度とのミスマッチ情報が必要である。本研究では小脳におけるミスマッチ情報の符号化様式を明らかにすることを目的とする。本年度は小脳における本年度は実験系と行動課題の確立を行った。さらに頭部固定下でトレッドミル上を自発的に歩行するマウスの小脳細胞から電気生理学的手法を用いてスパイク活動記録を行い、歩行速度・加速度が小脳細胞でどのように符号化されているかを検討した。 計測したほとんどの細胞はマウスの歩行中に発火頻度を変化させた。各細胞に最大発火を引き起こす歩行速度は細胞ごとに異なり、その速度はマウスの歩行速度の範囲全体に分布していた。最適な加速度については正に偏っていた。さらに、歩行速度と加速度の組み合わせに対する発火頻度は歩行速度、加速度それぞれに対する発火頻度の線形加算とよく類似していた。これらの結果から小脳皮質では歩行速度・加速度の符号化が行われていることを示唆する。 これらの結果について第42回日本神経科学大会(2019年7月・新潟)でポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系、マウスの行動課題を確立し、小脳皮質からの神経活動記録を開始しており、おおむね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、歩行課題遂行中のマウスに対して感覚情報の実験的操作を行いながら、細胞外電位記録法や2光子カルシウムイメージングをもちいた活動記録を行う。これによって、小脳皮質における歩行速度のミスマッチ情報の表現様式を明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入を計画していた備品が次年度に製造メーカーで廃盤になり、新製品に更新されることが明らかになったため本年度の購入を見送った。次年度に購入する計画である。
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Research Products
(1 results)