2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K07808
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
細川 まゆ子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70582013)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フッ素 / 行動試験 / ASD / 妊娠期曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ素を比較的多く含む飲料水を日常的に摂取している国では、骨フッ素症や斑状歯に加え自閉症スペクトラム障害(ASD)と類似した症状が報告されている。本研究では影響が報告されているフッ素濃度の飲料水を妊娠初期から摂取させることで仔のASDを発症する可能性について検討した。2019年度に行動試験を行い解析した結果、バーンズ迷路の5日間のエラー回数は雄では対照群と比べ15ppm群で多い傾向であったが、雌では有意な差は見られなかった。ターゲットにたどり着くまでの時間については、対照群と比べ雌雄ともに15,30ppm群で遅い傾向であった。6日目のプローブテストではターゲットの滞在時間が雄では対照群と比べ全ての群で有意に短かく、雌では30ppm群で短い傾向にあった。Y迷路の自発行動量は雄では有意な差は見られなかったが、雌では5ppm群と比べ30ppm群で有意に少なく、また全ての群に比べ30ppm群で自発行動量が少ない傾向にあった。空間作業記憶については雌雄ともに有意な差は見られなかった。効果式十字迷路では雌雄ともに有意な差は見られなかった。オープンフィールドテストの中心領域の滞在時間は、雄マウスでは有意な差は見られなかったが、雌マウスでは全ての群に比べ30ppm群で有意に長かった。行動時間、行動距離については雌雄ともに有意な差は見られなかった。行動試験終了後、14週齢の時点で頸椎脱臼にて屠殺し小脳、中脳、海馬を摘出し、ELISAで測定を行い、現在解析中である。これらの結果の一部について、2021年3月にオンライン開催された日本衛生学会学術総会(金沢)で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ELISAで測定を行った小脳、中脳、海馬中のセロトニン濃度の結果について、再検討する必要があり現在、測定方法の検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果では、バーンズ迷路の5日間のトレーニング期間中、雄の15ppmで対照群と比べエラー回数が多い傾向にあったこと、雌雄ともに対照群と比べ15,30ppm群でターゲットにたどり着くまでの時間が遅い傾向が見られたこと、プローブテストでは雄で対照群に比べ全ての群でゴールの滞在時間が短かったことから参照記憶の保持にやや障害がある可能性が示唆される。オープンフィールドテストでは、雌雄ともに行動距離に有意差が無く自発的行動の亢進は見られなかったものの、中心領域の滞在時間が雌で有意に長かったことから、不安感がなくなっている可能性がある。比較的多くのフッ素を含む水を日常的に摂取している発展途上国の地域では、継代的に摂取されているため、F1世代のみならずF2世代以降も観察する必要があると考え、F2世代にも同様の行動試験を行い解析中である。また、フッ素を摂取することで小児期の脳神経の発達が懸念されていることから、離乳期である生後21日目(離乳期)の時点でのセロトニン量についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
学会参加を予定していたが、コロナウィルス蔓延の影響で中止になったため旅費を出費しなかった。また、実験が継続しており論文投稿に至らなかった。来年度は国内外の学会参加費・演題登録費、出張費、論文の投稿費、実験試薬および行動試験装置の追加に予算を使用する予定である。
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