2020 Fiscal Year Research-status Report
Neural substrates for interpersonal rhythm entrainment as a social relationship
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19K07810
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
戸松 彩花 (戸松彩花) 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特任准教授 (00415530)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動同期 / 神経活動 / ニホンザル / 補足運動野 / 一次運動野 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、指示に応じて運動速度を変更しながら振幅運動を行う訓練を施したニホンザルの眼前に、大きな液晶パネルを設置し、等身大のサルの映像を見せながら課題運動をさせる実験を行った。映像のサルも実際のサルと同じように指示に応じて運動速度を変更するうえ、人工的に再生スピードを変化させて、実際のサルの運動への影響を観察した。その結果、映像のサルの動きが速いと、実際のサルの運動も速くなる関係にあることが明らかとなり、それは画面のサルの手の周囲を注視しているときにのみ生じることがわかった。すなわち、他者のリズムに「つられる」という、ヒトに頻繁に見られる現象が、ニホンザルにおいて確認できた。また、この効果はサルの姿を消した映像ではやや弱く、「他者」の存在が重要である可能性がある。 さらに、このサルの頭蓋骨の一部を切除し、神経記録用のチャンバーを設置した。補足運動野および一次運動野から課題運動実施中の神経細胞の活動を記録し、自己の運動リズムやビデオ他者(もしくは光や音)のリズムに関連した神経活動を解析している。 また、別の2頭のニホンザルに同じ課題運動を訓練し、上記と同様の行動データの取得および神経活動記録へと進めた上、実在の2者による同期実験に発展させる予定である。2頭同時の実験に対応するための実験室のセットアップなどはほぼ完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
補足運動野の記録経験がなかったため、試行錯誤によりチャンバーの位置を2度変更し、ひと月ほどの遅れが生じた。このためチャンバーの位置変更時に電動ドリルによって度重なる振動が与えられたためか、神経記録を開始した後に記録のための頭蓋上セットアップがとれてしまった。再建したが、再びとれるという事態が生じた。このため頭部の固定方法を、固定具による局所的保定からヘルメットによる頭部全体保定へと変更し、この変更に伴う再訓練などに時間を要したため、合計で約三か月ほど遅れが生じたと見ている。
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Strategy for Future Research Activity |
実在他者、ビデオ他者、物体、光、音による外的リズムと、自己が行う運動の内的リズム、それらの融合という3分類を各脳領域の神経活動に対して行い、その特性地図を作成する。このため、現在行っている刺入電極による記録に加えて、脳表電極の埋め込みを行う予定である。また、ムシモルなどの機能阻害剤を用いて、行動に対する変化を観察し、外的リズムに対する同期現象を形成するメカニズムについて考察する。
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Causes of Carryover |
国内学会および国際学会がオンライン開催となったため、旅費が生じなかった。また、論文出版関連費(英文校閲料や投稿料、印刷料)などの支出が今年はなかったため。 次年度使用額は2021年度の論文出版関連費および、実験環境構築における物品代に充てることとする。
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