2019 Fiscal Year Research-status Report
転写伸長機構に着目したマイクロサテライトリピート伸長病の治療開発
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19K07813
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
池田 佳生 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00282400)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マイクロサテライトリピート / グアニン四重鎖 / RNA gain-of-function / RAN translation / 脊髄小脳変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子内の非翻訳領域に存在するマイクロサテライトリピート伸長変異を原因とする疾患の治療開発を目的として、脊髄小脳失調症36型(SCA36)におけるGGCCTGリピート伸長変異およびc9orf72連鎖性筋萎縮性側索硬化症/前頭側頭型認知症(c9-ALS/FTD)におけるGGGGCCリピート伸長変異を発現する培養細胞モデルを用いて、その病態抑制を目指した治療開発研究を推進した。伸長マイクロサテライトリピートの選択的な転写伸長反応に関与していると報告されている転写伸長因子、yeast Spt4/Spt5 orthologuesを標的とするsiRNAを用い、SCA36培養細胞モデルにおいて、病態と関わりのある伸長GGCCUGリピート転写物由来の凝集体(RNA foci)の形成を抑制し、伸長GGCCUGリピート転写物の細胞毒性を低減させる結果を得た。yeast Spt4/Spt5 orthologuesがSCA36の治療標的となり得るという新たな知見をもたらした。 また、伸長GGCCUGリピート転写物や伸長GGGGCCリピート転写物が形成する核酸の高次構造であるグアニン四重鎖 (G-quadruplex)の病態への関与について着目し、G-quadruplexと結合性のあるポルフィリン体の治療効果について、SCA36培養細胞モデルを用いて検討した。候補化合物としてポルフィリン体の1種であるTMPyP4やポルフィリン体合成の原料となる5-アミノレブリン酸を用いて実験を行った結果、SCA36培養細胞モデルにおけるRNA foci形成抑制効果を確認し、これらの化合物はSCA36に対する治療候補薬となる可能性があり、今後さらに病態抑止効果とその分子機構を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SCA36およびc9-ALS/FTD培養細胞モデルにおいて、転写伸長因子であるyeast Spt4/Spt5 orthologuesのsiRNAを用いた発現抑制が、伸長マイクロサテライトリピート由来のRNA凝集体(RNA foci)の形成を抑制し、細胞毒性を低減させることを明らかにして、学術雑誌に採択されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
グアニン四重鎖 (G-quadruplex)に結合性のある種々のポルフィリン体が、SCA36およびc9-ALS/FTD培養細胞モデルにおいて細胞毒性を低減させる効果があるかどうかについて検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に合わせたスケジュールの関係で未使用額が生じたため。次年度使用額と翌年度分として請求した助成金と合わせた額を翌年度中に使用するように研究計画を立てています。
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