2019 Fiscal Year Research-status Report
Hereditary leukoencephalopathy with axonal spheroids: CSF1R positive cells and lesion staging based on brain image
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19K07820
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小柳 清光 信州大学, 医学部, 特任教授 (00134958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 光則 信州大学, 医学部, 特任教授 (30240039)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ALSP / HDLS / 白質脳症 / 遺伝性 / ミクログリア / CSF1R / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「新オレンジプラン」でも重点項目として取り上げられ、現代日本の大きな社会的問題であるヒト若年性認知症の一つ、腫大神経軸索(スフェロイド)を伴う遺伝性大脳白質変性症(ALSP: adult onset leukoencephalopathy with axonal spheroids and pigmented glia)における(1)脳の神経病理学的ステージごとのCSF1R発現細胞種を同定し、(2)生存患者さんの脳病理ステージ診断を脳画像所見で行うための基準を確立することを目的としている。 代表者らは世界でも初めて、ALSP白質病変が一定の方向性を有して進展拡大し、神経病理学的ステージが4段階からなること、各ステージで軸索やミクログリア、アストロサイトなどがダイナミックかつ特徴的な変化を示すこと、を報告した(Oyanagi K, et al. Brain Pathol. 27: 748-769, 2017)。さらに国際神経病理学会(2018年9月、ICN2018)では、ステージの進行によってミクログリアマーカーIba1陽性の細胞が減少する一方、これもミクログリアに発現すると言われてきたALSP病因遺伝子産物であるCSF1Rの陽性細胞が増加する事を見出し報告した。これらの所見を基盤として上記2テーマの研究を推進する。 この2テーマは、多数例の脳病理所見を把握し、それらの画像所見を確保している世界でも本代表者らしか為し得ない研究である。本研究成果はミクログリア研究にもCSF1R研究にも大きな一石を投じることになり、さらに脳画像所見からの脳病理ステージ診断は生存患者さんの臨床予後の予測には不可欠に重要である。 本研究は、CSF1R発現がIba1陽性のミクログリアから他マーカー陽性の細胞種へスイッチすることを証明し、脳の病理ステージ診断を脳画像所見から行なう為の基準を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は主として脳剖検標本の病理検索を行った。稀な疾患であるALSP研究推進のため日本全国から研究協力者を募り、ALSP症例はBrain Pathol 2017に報告した10例と新規ALSP4例の計14剖検例(男性7名、女性7名)、対照は年齢相応の6剖検例(男性3名、女性3名)を蒐集した。これらの症例は研究協力施設である、信州大学医学部、大吾病院、横浜市立大学医学部、千葉東病院、昭和大学医学部、国立長寿医療研究センター、汐田病院、埼玉医科大学、神奈川リハビリテーションセンター、岡山大学医学部、愛知医科大学から供与。剖検材料の活用には共同検索の確約がとれており、各施設で綿密なインフォームドコンセントが成されている。これらの検索症例数は必要最低限であり、かつ世界でも最大級のものである。 2019年度、前頭葉パラフィンブロックから6ミクロン厚連続切片を作成し、ミクログリア(Iba1 [ミクログリア全般]、CD40 [M1ミクログリアマーカー]、CD163 [M2ミクログリアマーカー])、アストロサイト(GFAP)、オリゴデンドログリア(Olig2)、およびCSF1Rに対する抗体を用いた免疫染色を行った。抗CSF1R抗体が多重免疫染色不能のため、連続切片それぞれに単一免疫染色を行いこれに重ねたサンドイッチ免疫染色を推進しつつある。それは、連続切片を用いたIba1-CSF1R-CD40-CD163とGFAP-CSF1R-Olig2との2通りのサンドイッチ染色である。これらを明視野光顕観察し、同一の細胞がどの免疫染色に陽性か、多数細胞を連続切片で綿密に観察しつつある。研究は計画に沿って概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、上記したALSP14剖検例と対照6剖検例の前頭葉のIba1-CSF1R-CD40-CD163とGFAP-CSF1R-Olig2との2通りのサンドイッチ染色を完成させ、光顕により連続切片にまたがる個々の細胞を観察して、CSF1Rが各症例、各ステージでどの細胞種に発現しているかを解析する。 2021年度は、生存ALSP患者さんの脳画像所見から、その方自身のALSP脳病理学的ステージを診断するための脳画像所見の基準を確立する。脳画像所見からの脳病理ステージ診断は生存患者さんの臨床予後の予測には不可欠に重要であり、この研究は、多数例の脳病理所見を把握し、それらの画像所見を確保している世界でも本代表者らしか為し得ない研究である。 研究協力施設である、信州大学医学部、大吾病院、横浜市立大学医学部、千葉東病院、昭和大学医学部、国立長寿医療研究センター、汐田病院、埼玉医科大学、神奈川リハビリテーションセンター、岡山大学医学部、愛知医科大学から上記ALSP14剖検例と対照6剖検例の脳CTまたはMRI画像を提示して戴くことがすでに申し合わされている。これらの症例の脳画像所見とその症例のALSP脳病理ステージとの対比を行って、ALSP脳病理学的ステージを診断するための脳画像所見の基準を確立する。
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Causes of Carryover |
2019年度、研究計画は上記の通り概ね順調に進捗した。ただし免疫染色に注力したため所見の解析に用いる予定の物品費等の次年度への繰り越しが生じた。2020年度、これらは主にサンドイッチ免疫染色と所見の解析用に使用予定である。
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[Journal Article] Retinal vasculopathy with cerebral leukodystrophy: clinicopathologic features of an autopsied patient with a heterozygous TREX 1 mutation2019
Author(s)
Saito R, Nozaki H, Kato T, Toyoshima Y, Tanaka H, Tsubata Y, Morioka T, Horikawa Y, Oyanagi K, Morita T, Onodera O, Kakita A
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Journal Title
Jouranal of Neuropathology and Experimental Neurology
Volume: 78
Pages: 181-186
DOI
Peer Reviewed / Open Access