2019 Fiscal Year Research-status Report
代謝血流制御による筋萎縮性側索硬化症新規治療法開発
Project/Area Number |
19K07822
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
多田 智 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70626530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 龍禎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00464248)
清水 幹人 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30817507)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動ニューロン病 / 神経変性 / 慢性虚血 / 慢性低酸素 / 低栄養 / 血流改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究における我々の目的は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)における運動神経変性に対して、低栄養・低酸素・慢性虚血がどの程度関連しているのかを明らかにし、代謝改善・血流増加・低酸素改善によって神経変性抑制を試みることである。強力な血管拡張作用を有するベラプロストナトリウム(ドルナー)をALSマウスに投与し、これによる神経変性抑制効果が見られるかどうか検討を開始している。具体的にはALSマウスにドルナーを1週間経口投与した後、脊髄を採取して免疫染色を行い、低酸素・虚血関連分子の発現が変化しているかどうか検討している。これらの変化が認められれば、続いて長期経口投与(発症時より死亡14日程度前まで)を行い、長期的に運動症状の改善が見られるかどうか、生命予後が改善するか検討する予定としている。一方、ALSに見られる筋肉代謝異常の原因を検討すべく、ALS患者の血清を培養筋細胞に添加し、培養細胞の代謝がどのように変化するか検討を開始している。具体的には、培養上清中の乳酸・ピルビン酸・ブドウ糖濃度を計測し、これらの産生に変化がないかどうか検討する。また、培養細胞を低酸素・中等度酸素・高濃度酸素条件に置き、好気的代謝と嫌気的代謝がALS患者血清の添加によりどのように変化するのか検討している。低酸素により発生するミトコンドリア障害の指標として、ALS患者のミトコンドリアDNAに着目し、検体を採集してミトコンドリアDNA量と患者の低酸素状態に相関があるか調査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ALSモデルマウスを用いた動物実験は、大阪大学医学部動物舎の建て替えに伴い使用可能なマウス数が制限されており、十分な実験が行えていない。培養細胞を用いた実験は概ね順調に進捗している。ALS患者が予想されたよりも少なく、患者髄液サンプルの収集は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通り、ALSモデルマウスへのプロスタグランジン製剤の投与を続け、運動神経編成に対する長期的な効果を検討する。培養筋細胞を用いた評価では、代謝産物に注目してALS患者血清によって特異的に誘導される代謝経路の発見に努め、またメタボローム、RNA-seqにより代謝産物レベル・遺伝子レベルでの筋細胞の変化を評価する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、サイトカン測定キットの購入費が少なく済んだため。当初計画していたマウス実験関連費用についても、動物舎他建て替えに伴う実験動物数減少により、当初の予定よりも少なく済んだため。
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Research Products
(2 results)