2021 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる共存蛋白を標的とした遺伝性TTR型脳アミロイド血管症の解析
Project/Area Number |
19K07824
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山下 太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (90381003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 曜章 熊本大学, 病院, 助教 (50464459)
植田 光晴 熊本大学, 病院, 教授 (60452885)
三隅 洋平 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80625781)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 脳アミロイド血管症 / アミロイド前駆蛋白質 / アミロイド共存蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテオミクス解析法の発展により、プレパラート上の標本から、レーザーマイクロダイセクション(LMD)法で関心領域を採取し、液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析器(LC-MS/ MS)による解析で、蛋白質を同定することが可能となり、我々は本手法によるアミロイドの解析法を確立した。 遺伝性トサンスサイレチン(TTR)型アミロイドーシスの大部分は、常染色体優性遺伝性の末梢神経障害を呈し、家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)としても知られ、中神経症候を来すことは極めてまれと考えられてきた。しかし、我々の研究により九州に集積地を有しするTTR Y114C型遺伝性脳アミロイド血管症の存在が明らかとなってきた(Yamashita et al. Neurology 2005, 2008)。本症は成人期に致死性の脳葉型出血や、急速進行性認知症などをきたすが、病態には不明な点が多い。 LMD-LC-MS/ MS手法により、我々が疾患概念を提唱したY114C型やV30M型遺伝性ATTR脳アミロイド血管症患者の剖検脳組織においてアミロイドを採取し、網羅的解析によりアミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイリング行い、アミロイド沈着機構を規定する因子を探索した。 本研究において、ATTR、脳アミロイド血管症を含むアミロイド沈着組織のLMD-LC-MS/MS解析を69例実施し、アミロイド前駆蛋白質と共存蛋白質のプロファイル解析を実施した。脳血管に沈着したアミロイドに対するプロテオミクス解析において同定された共存蛋白質において、高濃度に存在する蛋白質や、正常血管と比較して特異的に存在する蛋白質を探索した。研究結果は英語論文をはじめ、国際学会、国内学会総会で発表した。 今回の我々の研究は、TTR型脳アミロイド血管症の病態解明と、アミロイド沈着機構に基づく新たな治療法の開発に大きく資すると考えられる。
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Research Products
(4 results)